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ライフスタイル経済への道のり、HCMCと東京・ソウルの違い

2025年12月04日(本日)07時00分 公開
ライフスタイル経済への道のり、HCMCと東京・ソウルの違い

<写真:znews.vn>

 

都市の魅力と競争力を高める新たな指標として、「ライフスタイル経済」が注目されている。ソウル、東京、コペンハーゲン、バンコクといった都市では、文化と美学を融合させた生活様式が経済の一部として確立されつつある。ホーチミン市もこの潮流に加わろうとしているが、その実現には多くの課題が横たわっている。

 

現状、ホーチミン市においては中間層の規模が依然として小さく、交通インフラや公共空間の整備も「ライフスタイル都市」を支える水準には達していない。さらに、都市文化の基盤となる観光産業も未成熟であり、安定的な成長を見込むには心許ない状況である。

 

ライフスタイル産業とは、単なるモノの販売にとどまらず、体験や価値観、世界観といった無形の魅力を提供するものである。ホーチミン市でも、都市型カフェや創作ワークショップ、地元デザイナーによるスタジオなどが若者を中心に広まりつつある。しかし、その多くは韓国や日本のライフスタイルを模倣したものであり、独自性には欠けるのが現状である。

 

他都市との差異は、単なる経済規模の違いにとどまらず、文化的深度に起因している。韓国はK-POPやテレビドラマ、美的感覚を通じて、自国のライフスタイルを世界に発信してきた。日本や北欧諸国もまた、伝統文化と現代的感性を融合させた独自のスタイルを築き上げている。

 

一方、ホーチミン市のライフスタイル経済は、経済的基盤としては脆弱である。都市の視覚的魅力は一定の評価を得ているものの、カフェや装飾を重視した店舗といった業態は収益性が低く、生産性も高いとは言い難い。また、富裕層向け不動産に過度に依存する構造は、持続可能性の面で問題を抱えている。

 

とはいえ、ライフスタイルは都市に精神的な豊かさをもたらすものであり、創造産業の起点としても大きな可能性を秘めている。市民や観光客に対して「住みたい」「訪れたい」と思わせる都市づくりにおいて、その果たす役割は決して小さくない。

 

近年、AI技術の活用もまた注目を集めている。業務の効率化や消費者行動の分析、パーソナライズされたサービスの設計など、グローバルなライフスタイル企業はAIを積極的に導入している。ホーチミン市においても、小規模事業者が多い中で、AIは運営の持続性を支える「柔軟な骨格」として有効に機能する可能性がある。

 

ただし、AIが提供できるのはあくまで効率と最適化であり、文化的アイデンティティの創出はAIの領域ではない。真にライフスタイル産業を根付かせるためには、地域固有の「文化的署名」の確立が不可欠である。

 

今後、ホーチミン市が目指すべき方向性は、ライフスタイルを都市文化・観光・創造経済の一部として位置づけ、戦略的に育成することである。サイゴン特有のスピード感や温かみ、東洋と西洋の文化が交差する都市としての本質をライフスタイル商品に織り込むことで、国際市場においても競争力ある文化的輸出が実現可能となる。

 

ホーチミン市が真に「ライフスタイル都市」として国際的な存在感を確立するためには、単なる模倣にとどまらず、文化的深度に裏打ちされた独自の都市像を構築することが求められる。ライフスタイル経済は万能な解決策ではないものの、都市の「顔」として、その形成において極めて重要な要素となり得る。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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