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訪越外国人が過去最多も、旅行業界は収益低迷が深刻化
<写真:vietnam.vn>
1月から11月までにベトナムを訪れた外国人観光客数が1900万人を超え、過去最多を記録したが、旅行業界における収益は伸び悩み、その構造的な課題が浮き彫りとなっている。
旅行業界関係者によれば、画一的で魅力に乏しい観光商品が旅行者の関心を引きにくくなっているほか、個人旅行の増加により、従来の団体向けツアーに依存したビジネスモデルが限界を迎えている。
Kiwi Travelのファム・クイ・フイ社長によれば、これまで収益の柱であったMICEツアーの需要が大きく減少しており、高級ホテルやクルーズを利用する団体客も減少傾向にある。
その結果、多くの旅行会社が「顧客不足」に直面しているという。
一方で、スケジュールや手配を自ら行う個人旅行者が急増している。
こうした旅行者は、ビザ取得から航空券、宿泊予約に至るまでを海外資本のオンラインプラットフォームで完結させることが多く、現地旅行会社のサービスを利用しない傾向が強い。
そのため、観光客数が過去最多を記録しても、旅行業界全体の利益には直結しないという構造的な問題が生じている。
Golden Smile Travelのトニー・フン・チャン氏は、既存のパッケージツアーが自由度に欠ける点を問題視しており、価格競争の激化によりサービスの質が低下する懸念を示している。
こうした状況を打破すべく、ベンタインツーリスト社では柔軟性を重視した「Free & Easy」型プランや体験型観光コンテンツの導入を進めている。
さらに、欧州、インド、中国語圏といった新市場の開拓にも注力し、売上と利益の向上につなげている。
体験型観光では、ホイアン近郊のトゥアクエ村での農業体験や郷土料理作り、北部山岳地帯でのホームステイなど、地域文化を活かしたプログラムが人気を集めている。
航空会社やホテルとの連携強化による早期予約制度も、サービス品質と価格の安定化に寄与している。
しかしながら、外国人観光客の消費行動の変化も、旅行業界の収益低迷に影響を与えている。
2023年には1人あたりの平均支出が1449.7ドル(約22万7170円)まで増加したが、宿泊や飲食、買い物への支出は減少傾向にあり、代わりに体験型サービスや観光地の入場料への支出が大きく増加した。
特に買い物に対する支出割合は8.4%と過去最低水準に落ち込み、タイやシンガポールのような「ショッピング目的地」としての競争力に欠ける点が浮き彫りとなっている。
さらに、観光客の国別消費額にも顕著な差が見られる。
たとえば、アメリカ人観光客は1回の旅行で平均4800ドル(約75万2160円)を消費するのに対し、中国や韓国からの旅行者はそれを大きく下回る水準にとどまっている。
ファム・クイ・フイ氏は、ベトナム国内には国際水準の商業施設が少なく、税還付制度の不便さ、土産物や夜市の商品に独自性が乏しいことを問題点として挙げている。
こうした課題が観光客の購買意欲を削ぎ、ひいては旅行業界全体の収益性向上を阻む要因となっていると分析されている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。