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ベトナムの個人事業主、税逃れの実態と制度改革の動向
<写真:laodong.vn>
ベトナムでは、年間売上が数千億ドンに上るにもかかわらず、わずか50億ドン(約2950万円)程度しか申告しない個人事業主が存在しており、深刻な税逃れの実態が明らかとなっている。
16日にハノイで開催された税制改革に関するセミナーにおいて、ベトナム税務コンサルタント協会(VTCA)のグエン・ティ・クック会長が指摘した。
ベトナム政府は2026年1月より、個人事業主に対して従来の定額課税方式から自己申告制への移行を義務付ける方針である。
この制度では事業主自らが売上または所得に基づいて税額を計算し、納税する必要がある。
クック会長は、この改革により税制の透明性と公平性が向上するとして「文明的な一歩である」と評価している。
しかしながら、現行制度下においては、税務当局が課税対象となる実際の売上を正確に把握することが困難である。
特にハノイ市およびホーチミン市では、実際の売上が数千億ドンに及ぶにもかかわらず、申告額は50億ドン(約2950万円)程度にとどまるケースが多数報告されている。
現行の税法によれば、納税額が1億ドン(約59万円)を超える脱税行為は刑事訴追の対象となる。
過去には、複数の事業登録を利用して商品を密輸・偽造し、大規模な脱税に関与した著名人の事例も確認されている。
一方、ベトナム商工会議所(VCCI)の報告によれば、年間売上が5億ドン(約295万円)未満の事業者は免税対象となる見込みであり、これは全事業者の約90%に相当するという。
自己申告制の導入により、納税手続きや電子インボイスの管理などの業務負担が増加するとの懸念もある。
VCCIが実施した調査によれば、事業者の73%がデジタル技術に関する知識の不足を、53%が手続きの複雑さを課題として挙げている。
これに対応する形で、民間企業KiotVietは事業者向けに税務申告支援ソフトを提供しており、導入から運用開始まで最短3日で完了可能とするなど、制度移行への支援体制を強化している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。