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出生率に地域格差、北部山岳地帯では依然高水準
<写真:suckhoedoisong.vn>
ベトナム保健省人口局の報告によれば、2025年の全国平均出生率は女性1人あたり1.93人となり、前年の過去最低水準である1.91人からわずかに回復したが、人口置換水準の2.1人を依然として下回っている。
一方で、地域間の出生率格差は拡大傾向にあり、ホーチミン市が全国最低の1.51人を記録する一方、北部山岳地帯のディエンビエン省では2.91人と、顕著な差が生じている。
出生率が高い地域には、ディエンビエン省、ライチャウ省、ソンラ省、ラオカイ省、ザライ省などが挙げられ、いずれも農林業を基盤とした経済構造を有する。
これらの地域では「子どもは労働力であり、老後の保障である」とする価値観が根強く、3人から4人の子どもを持つことが一般的となっている。
一方、都市部では生活費の上昇や教育への投資意識の高まりに加え、女性の高学歴化や晩婚化、出産年齢の遅れが出生率の低下に影響を与えている。
ホーチミン市やドンナイ省などでは、キャリアや生活の質を優先し、子どもを持たないという選択をする女性も増加傾向にある。
さらに、少数民族が多く暮らす山岳地帯では「子だくさんは幸福の証」や「男子と女子の両方を持つべき」といった伝統的な価値観が色濃く残っている。
これに加えて、近親婚や早婚が多く見られ、結果として女性の出産可能期間が長期化する傾向にある。
また、避妊具の使用率が低く、家族計画に関する知識が十分に浸透していないことも、多産の一因とされている。
専門家は、こうした出生率の高さが貧困の連鎖や社会的不平等の拡大につながる可能性があると警鐘を鳴らしている。
子どもが多い家庭では教育資源が分散されることで将来的な労働力の質が低下し、地方の医療・教育機関にも過重な負担がかかる懸念がある。
これらの課題を踏まえ、保健省のド・スアン・トゥエン副大臣は、地域の実情に即した柔軟な人口政策の必要性を訴えた。
特に出生率の高い地域においては、行政による制限やスローガンに頼るのではなく、貧困対策、教育水準の向上、女性の地位向上といった包括的な取り組みが不可欠であると強調した。
併せて、未婚カップルへのカウンセリングや早婚・近親婚の防止を通じて、人口の質的向上を目指すべきであるとの見解を示した。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。