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最近ベトナムで犬肉が食べられなくなった背景とは?
<インドネシアのジョグジャカルタ市周辺のバンタル県バンバンリプロで解体処理前に袋に詰められた犬たち(写真提供:ロイター社/Dwi Oblo氏)>
人々が犬肉を食べることを避けるのには多くの理由があり、健康もそのひとつだ。
人間が犬を飼育しはじめた歴史は長く、紀元前1万8000年に遡る。豚の飼育は紀元前1万3000年に、牛の飼育は紀元前1万年にはじまったことを考えると、犬と人間の歴史は長いと言えるだろう。
昔の人が豚や牛、鳥と同じように犬も食べる習慣を身につけていたら、犬を食べて良いのかどうかの議論は今頃ないだろう。
ベトナム料理には古来より犬肉を使った料理はなかった。1930年までは犬肉を取り扱うお店はハノイには1〜2軒しかなく、南部には犬肉を販売しているお店は存在しなかった。
一方で、ベトナムでは犬を食べることに関する迷信が多くあるため、その事実について考えよう。
まず、犬肉は人間が思っているほど栄養価が高くなく、犬肉を食べることの危険性は高いと言われている。犬肉には犬回虫と言われる寄生虫が含まれているため、人間の体内に入ると失明や心筋炎、呼吸不全などにおちいる危険性があるという。
狂犬病への感染も犬肉を食べた際に懸念すべきことのひとつだ。加熱調理されている段階で狂犬病の原因となるウイルスは死滅するが、ナイフやフォークなどの台所用具などに菌が付着し、知らずの間にウイルス感染する危険性がある。
犬は人間の近くで、尻尾をふるわせ人間の方を笑顔で見てくれる。その可愛らしさが無条件の愛情と感じられないなら理由を理解しがたい。
3番目に、最も重要なことかもしれないが、ベトナムで消費されている犬肉の多くは食用に飼育されておらず、飼い主から強奪した犬であることだ。
このことを踏まえると、もし犬肉を食したら見知らぬ家族の一員である犬を殺した張本人だということになる。
4番目に人間はもはや狩猟民族ではなくなり、自分たち自身で魚や果物などを育てることができるようになったということだ。
現在、人間の食は多様化しているが、犬肉を食べることは人間の選択肢には入りずらい。
中国では、毎年何千匹もの犬を殺して食すドッグミートフェスティバルが開催されているが、動物愛護団体から多くの批判を受けている。
古来より犬肉を食す民族として知られている韓国では状況が異なっている。2016年には犬肉に関する国民投票がおこなわれ、犬は食料ではなく友達だと答えた韓国人が60%を占めた。
昨年、台湾では犬肉の販売が禁止され、違反者には罰金として3万7000ドル(約407万円)〜6万5000ドル(約715万円)を支払うことが決められた。
犬肉を食べてはいけないというと、人間は豚や牛など全ての動物を食してはならないとの意見を発する人もいるだろう。
事実として人間は食物連鎖の頂点にいる。ただ、食料品として動物を殺すことと快楽のために殺すのでは意味合いが異なる。この点は混同してはならない。私たちは犬を食べることは単純に他の動物を食べることとは意味合いが異なることを理解しなくてはならない。
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