新型コロナウイルス(COVID-19)について【ファミリーメディカルプラクティスより】
この記事はファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市が2020年2月13日に執筆したのもです。
中国・武漢市より世界に広がった新型コロナウイルス(正式名称COVID-19)のために、ホーチミン市内の学校はテト休暇が開けた後も、休校が続いています。
当院の取り組み
ベトナムのテト休暇が始まる3日前に、当院では新型コロナウイルスに対する対応が始まりました。当院の全てのメディカルセンター入口前にテントを設置し、受診者全員に対して問診をしています。
2週間以内に、中国に滞在した、あるいは該当地からの旅行者との濃厚接触がある方は、症状および受診の理由によらず、熱がなくても、骨折や外傷でも、その場で受診をお断りしています(執筆当時の対応。今後、変更あり)。
また、コロナウィルスに関しての質疑応答セッションを行うビデオコール・ラインを開設し、当院の診療部長が毎日午後5時より、コミュニティのみなさんに医療上のアドバイスを提供しています。
このセッションには、主に、ホーチミン市内の多数のインターナショナルスクールや企業の責任者、お子さんをお持ちの親御様、ホーチミン在住のベトナム人・外国人の皆さまが参加しています。
新型コロナウイルスの検査と診断
新型コロナウイルスに感染した患者さんを、その場で診断することは、当院だけでなく、世界中のいかなる医療機関であっても不可能です。
症状では、通常の風邪や肺炎と区別が難しく、更に新型コロナウイルスとインフルエンザに同時に感染しているような場合(フィリピンでの死亡例)には、検査をしても当初は間違う可能性すらあります。
診断には、PCRと言う検査が必要です。
PCRとは
病原体のDNAを見つける検査です。2003年に流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS) は、今回の新型コロナウイルスの親戚みたいなものですが、SARSもPCRで診断していました。
PCRという検査を行うには、時間とお金と機材が必要ですし、どこでもできるものではありません。
新型コロナウイルスの治療
現在のところ、新型コロナウイルスに効果のある薬はありません。抗インフルエンザ薬とHIVの薬を使って効果があったという報告はあるものの、今のところ治療薬はない、と思った方が良いです。
ベトナムでは、新型コロナウイルスの治療は、政府が指定する医療機関でのみ許可されており、ホーチミン では公立4病院が指定されています。
指定医療機関でPCRが行われるのは、今のところ、① - 「過去2週間以内に中国に滞在した者」か、② - 「①との濃厚接触者」に限られており(2月7日)、不安だから検査してください、と出向いても、検査はしてくれません。
新型コロナウイルスはどれくらい危険でしょうか
新型コロナウイルスもSARSも、不思議と子供は大人に比べて重症化しにくいようです。
死亡率は、インフルエンザが0.1%、新型コロナウイルス2%、SARSが10%くらいです。
大量の患者のために病院機能が麻痺した武漢市周囲を除けば、インフルエンザと大して変わらない、という説もあります。
罹患すれば必ず重症になるわけではありません。
奈良在住のバス運転手さんが、日本国外に出ていないにもかかわらず、新型コロナウイルスに感染しています。
これは、海外旅行に行けるくらい症状が軽い中国人観光客から、うつったものと思われます。
予防
治療法がないなら、予防するしかありません。
感染地域に行かない、感染地域から来た人との接触を避ける、マスクと手洗いくらいでしょう。
ぼったくり価格のマスクを買うくらいなら、布製マスクを自作しても、タオルを巻いても、効果は同じです。
更に言うなら、新型コロナウイルスの流行は長引くと予想され、SARSの時のようにはすっきりと終息しない可能性すらあります。事態の長期化への心構えをしておくべきと思います。
ファミリーメディカルプラクティス
奥田 雅人 医師
「ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市」詳細情報
- 日本語デスク・サポートライン:(028)3822-1919
- 受診予約:月~木8:00am~5:00pm / 金8:00am~2:30pm / 土 8:00am~12:00pm
- 日本語デスク・Eメール:hcmc.jpdesk@vietnammedicalpractice.com
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