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新型コロナウイルスについて【ファミリーメディカルプラクティスより】

2020年03月03日(火)00時00分 公開
新型コロナウイルスについて【ファミリーメディカルプラクティスより】

新型コロナウイルスの感染が日々拡大している中、ウイルスのメカニズムを理解し、根絶させる方法を見つけ出そうと、世界中が奮闘しています。

ファミリーメディカルプラクティスの院長・CEO - ラフィ・コット医師が、自身が目の当たりにした、新型コロナウィルスと他の感染症との違いについてお伝えします。

 

  • なぜこの感染症が流行しているのか。
  • この流行は収まるのか。
  • どう対処していくべきか。

わかりやすく説明します。 

 

世界中で、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広まっています。

 

これまでの記憶に残る感染ウイルスは、SARSやMERSがありますが、これらは致死率が8%ほどで深刻なものでした。

新型コロナウイルスとSARS・MERSとの間には、顕著な違いがあります。

 

医療の観点からは、SARSやMERSは、明らか診断がつきやすい病気でした。

そのため、SARS・MERSの流行時、感染者の隔離の管理がしやすく、迅速で適切な治療が可能でした。

 

しかし、新型コロナウイルスは、感染していても症状が非常に軽く、感染していることに気が付かないケースも多くあります。

そのため、感染が見落とされ、感染拡大につながってしまいます。

また、未だ理由・原因が解明されていない、スーパー・スプレッダー(他者への感染力が特別強い感染者)の存在も、感染拡大につながっていると言われています。

 

SARSは、もともとは人から人に感染するものではありませんでしたが、重篤になった感染者により、人から人へ感染するようになりました 。

 

一方、現在の新型コロナウイルスの場合は、症状が非常に軽い感染者でも感染力があり、感染率は、感染者1人あたり2~6人と言われています。

1人あたりの感染率を他のウイルスと比較すると、インフルエンザは2人、SARSは3人、感染力が極めて強い麻しん(はしか)は、12~18人となっています。

 

 

ウイルスの変異

 

ウイルスはどのようにして広がっていくのでしょう。

全てのコロナウイルス菌株は、もともと動物が保有しているものです。

そして、どこかの段階で、人への感染が可能なウイルスに変異し、一度人へ感染すると、人から人へすぐに感染が広がっていくのです。

 

新型コロナウイルスは、呼吸器系の感染が主体で、感染者による飛沫(くしゃみ、咳、つば)と一緒にウイルスが放出され、感染が広がりやすいのが特徴です。

 

新型コロナウイルス感染者の15%が、主に重篤な肺炎などを発症します。

この場合、抗ウイルスの治療法はなく、二次感染症があれば、抗生剤と酸素吸入による治療、さらに症状が重篤な場合は、回復するまで人工呼吸器を取り付けます。

その他の症状としては、発熱や筋肉の痛み、喉の痛みなど、インフルエンザや風邪のような症状となります。新型コロナウイルスは、インフルエンザよりも重篤ですが、SARSほどではありません。

 

致死率は、新型コロナウイルスが1~2%、インフルエンザが0.1%、SARSが8~9%となっています。

しかし、新型コロナウイルスに関しては、感染者数の把握が非常に難しいため(症状が非常に軽く、感染を見落としているケースが多い)、実際の致死率は異なっていると考えられます。

そのため、疾患対策予防センター(CDC)は、米国の主要5都市にて、インフルエンザ患者を対象に、新型コロナウイルス感染検査の実施を開始しました。

 

 

感染拡大予防

 

SARSの感染拡大は、主に感染者の有効な隔離対策と気温の変化により、収束しました。

新型コロナウイルスがどれだけ気候の変化の影響を受けるのか、はっきりとは分かっていません。

今回の感染拡大の理由は現在不明確ですが、主に次の2つに原因があるのではないかと言われています。

 

  1. 症状が軽く、感染が見落とされている。
  2. 検査の不足 - 現在、新型コロナウイルスは安易に検査することができず、検査対象者も限られている。そのため、感染者の見落としも多く、感染拡大の明確な状況を把握することが困難である。

 

 

予防ワクチンは開発されるのか?

 

新型コロナウイルスの予防ワクチンが開発されるのには、1年半ほどかかると思われます。

最短で1年ほどで開発される可能性もありますが、世界保健機構(WHO)と疾患対策予防センター(CDC)が臨床試験の行程短縮を認めるかどうかによります。

 

ワクチンが開発される頃には、事態も終息している可能性が高いでしょう。ウイルスに感染すると、一時的(3~4年)に体内に抗体ができますが、その後はウイルス自体が変異をし、また、時として免疫力が低下した際に、再感染する可能性があります。

 

 

公式発表されている情報は、本当に正確なのか?

 

世界の各保健局は、非常に複雑で困難な事態に置かれています。

皆、不確実な情報を元に動かざるを得ない状況なのです。

また、ウイルス感染拡大防止の方法というのは、ウイルス感染の発生が数回繰り返されて初めて、その有効性を適切に評価することができるのです。

 

これを執筆している時点(2020年2月18日)で、中国疾患対策センター(CCDC)が発表した大規模な発症例の分析結果は、新型コロナウイルスに関する最新で最大の分析データとなっています。

 

  • 感染者の80.9%が、軽度の症状で、回復している
  • 感染者の13.8%が、中度~重度の症状である
  • 感染者の4.7%が、重体である
  • 感染者の致死率は2.3%である。子供よりも成人の方が致死率が高い
  • 致死率が最も高いのは、80歳以上である(14.8%)
  • 9歳以下の感染者の死亡は報告されていない
  • 39歳以下の致死率は低い(0.2%)
  • 致死率は、40歳以上 - 0.4%、50歳以上 - 1.3%、60歳以上 - 3.6%である
  • 女性より男性の方が致死率が高い(女性 - 1.7% / 男性 - 2.8%)
  • 循環器疾患、糖尿病、呼吸器疾患を患っている場合は、リスクが高くなる

 

新型コロナウイルスの感染状況を完全に発表していない国々では、症状が非常に軽い感染者が、感染者に含まれていない可能性もあります。

検査方法が有効でないため、ウイルスが検出されず、感染が見落とされる場合もあります。

 

検査結果が陰性と出ても、ウイルス感染拡大を静かにし続けているのかもしれません。

そのため、疾患対策予防センター(CDC)は、米国国内5カ所(ニューヨーク、シカゴ、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス)の研究所にて、新型コロナウイルスの検査を緊急で開始しました。

 

これは、新型コロナウイルスに加えて、インフルエンザの症状がある、全ての患者を定期的に検査するというものです。

これにより、政府と疾患対策予防センター(CDC)は、感染の恐れを早い段階で予測し、感染予防の措置を実施することができるのです。

「早い段階で」というのが、非常に重要になるのです。

中国では、早い段階で措置を取ることができなかったために、感染が拡大してしまったのです。

 

2月18日現在、アメリカでは600人が感染疑いで隔離されており、彼らのほとんどが中国からの帰国者です。

過去数日間で感染が確認されたのは、1名となっています。

 

「これは世界的な問題で、今後数週間で終息する事態ではない。そして、アメリカやヨーロッパにも感染が広がって行くのは、時間の問題である。」と、世界保健機構(WHO)や多くの国々が予測しています。

 

私が皆さんにお願いしたいことは、誤った情報や誇張したニュース・記事に惑わされないでいただきたいということです。

こういった情報が拡散され、人々の不安や恐怖が無駄に掻き立てられていると見受けられます。

 

多くの方が感染したことがあるインフルエンザでは、世界で毎年40万人が死亡しています。

米国においては、前回の流行シーズンでは3万4千人以上、その前のシーズンでは6万1千人以上がインフルエンザで死亡しているのです(注)。

 

自身の常識を信じ、バランスよく今の状況に対応しましょう。

分かりやすくかつ誇張していうのであれば、この新型コロナウイルス感染拡大の事態は、人類の滅亡でも世界の終わりでもありません。

 

これまで、我々はSARS、鳥インフルエンザなど、その他多くのウイルス感染拡大を経験し、乗り越えて来ました。

今回の事態も、乗り越えられるのです。

 

ベトナム政府は、一貫した公式情報・メッセージを国民に提供することが大切です。

国全体、地域ごとの、明白で正確な感染状況の情報を、日々発信していただきたいと願います。

 

また、この状況下で、ウイルス関連情報を掲載・配信するアプリやホームページが多く開設されていますが、こういったメディアばかりに頼るのは危険です。

正確な情報を信頼できる情報元から自身で入手し、実際の状況をしっかりと把握し、常識範囲内でバランスよく事態に対応していくことが大切だと思います。

 

いくつものウイルス感染拡大の事態を経験して来た医療従事者として、私は、こういった状況下で政府と国民の間にコミュニケーションのギャップが未だ存在することを感じ、とても遺憾に思います。

今後、改善されていくことを願って已みません。

 

(注):疾患対策予防センター(CDC)

 

ファミリーメディカルプラクティス
院長・CEO - ラフィ・コット医師
2020年2月24日

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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