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ベトナムで18歳以下に酒類販売を禁止する法律は有効なのか?
専門家によると、酒類の販売を年齢で制限することは事実上不可能であり、他の選択肢が求められているという。
<ハノイのレストランでビールを楽しんでいる人々の様子(写真提供:ロイター通信)>
酒類の販売に関する指導や注意喚起がアルコールの過剰摂取の問題を防ぐためにはより有効だと専門家らは述べる。
ベトナム保健省はアルコールによる危険を防ぐため、多くの法案を提出した。その中には、アルコール度数が15度以上の酒類は割引を禁止するものや「消毒アルコール」や「栄養価の高いアルコール」などのフレーズの使用禁止、午後6時から9時には酒類の広告を禁止、18歳未満の人には酒類の販売を禁止、そしてインターネット上での酒類の販売を禁止する法案などが提出された。
KAV法律事務所のKieu Anh Vu弁護士はアルコールがもたらす被害は甚大なため、アルコール類に関する法的な措置は間違いなく必要だと述べた。
Vu氏は労働時間中に政府機関や市民、従業員などへ酒類の販売を禁止する法案や飲酒運転の禁止、18歳未満の人への種類の販売を禁止する法案などを支持しているという。
「これらの制限は社会秩序や安全面、健康面などを踏まえると採用されるべき法案だ」とVu氏は述べた。
一方で、Vu氏は年齢確認をどのように実行するかについて懸念している。「販売者は利用客のIDカードを見る権利があるのか、それともただ年齢確認を口頭でするだけになってしまうのか」とVu氏は続けた。
心理学者のNguyen An Chat氏はVu氏の論説と同ページで酒類の販売業者が顧客の年齢を識別する方法について疑問を呈した。
「15歳の人が年上に見えることもあれば、20歳の人がそれより若く見えることもある。酒類の購入をしたい人はみなIDカードを持つべきなのか。」と同氏は疑問に思っているという。
Bao An法律事務所のVu Tien Vinh弁護士は「酒類をインターネット上で買う方が酒屋やスーパーに行くよりも便利なのは間違いない」と述べた。
もし、オンラインでの酒類の販売が禁止されれば、国民は酒店やスーパーなどの従来の方法で購入することになるという。
Vinh氏は実際には酒店やスーパーなどの従来の方法で酒類を購入することはとても容易だと述べた。
社会学者のTrinh Hoa Binh氏によると、オンライン上での違法な酒類の売買を発見することは非常に難しいという。
「インターネット上での売買は現在流行している。酒類の販売のみ現在の潮流に逆らうのだろうか」と心理学者のNguyen An Chat氏は疑問を呈した。
予想される問題点を踏まえてBinh氏は、政府は販売を抑制する法案を作るのではなく、現在のベトナムの国民に対し、アルコールが与える悪影響についての教育を徹底し、国民の意識を高めることが重要だと提案した。
Chat氏はBinh氏の提案に同意している。アルコール摂取量の抑制に関する教育はまず家庭で行い、国民の意識を高めるために学校でも引き続き教育が行われるべきだとの見解を示した。
心理学者のKhuat Thu Hong氏は、多くの国で酒類の販売や飲酒を規制する法律は課題となる点が多くあるが厳格な規則を定めることが標準化してきていると述べた。
「ベトナムではこれらの規則はよく実行されていはいるものの、国民の動向を監視し、アルコール類の危険性について継続的に認識させていくことが重要となってくる」とHong氏は述べた。
ベトナムではビールを含む酒類が原因で死亡する人の数が毎年800人にものぼる。
社会に混乱をもたらす事件の中でも30%ほどが飲酒が発端となっている。
2017年、ベトナムで酒類への合計消費額は約4億ドル(約440億円)にのぼるという。
2017年度にアルコールが原因となって引き起こされた交通事故の被害総額はGDPの1%にも匹敵する。
酒類業界は50兆ドン(約2500億円)もの年間予算を算出し、直接的または間接的に22万人の雇用を生み出しているという。
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