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世界遺産古都ホイアン、気候変動の危機に直面
<2017年11月、ホイアンでは台風(ダムリー)による大雨の影響で町が水没し、観光客がボードで移動している様子(写真提供:VnExpress/Quynh Tran)>
ユネスコ世界遺産に登録されている古都ホイアンが気候変動の危機に直面している。
アメリカのニュースチャンネルであるCNNは、気候変動が世界の貴重な遺産に甚大な被害を与えていると報道した。ダナンから南に約30kmのトゥボン川沿いにある古都ホイアンはその1つとして挙げられている。
同ニュースチャンネルは国連環境計画、ユネスコとアメリカの科学者団体である憂慮する科学者同盟の共同報告書を引用して、ホイアンは雨季に洪水が発生しやすく、近年では気候変動により状況が悪化しつつあると報道した。
報道ではホイアンのほとんどの地域で少なくとも海抜2メートルになり、水位の上昇や高潮被害が発生すると述べられている。
2017年11月、1999年にユネスコ世界遺産に登録されたホイアンは過去最悪の洪水を記録し、台風23号(ダムリー)による大雨の影響で町の大部分が浸水した。ベトナム中部地域では台風により、少なくとも106人が死亡、約22兆ドン(約1100億円)規模の被害が発生した。
水位の上昇により、古都ホイアン周辺の観光地であるクアダイビーチでは深刻な侵食被害が発生した。年間に10〜20mずつ侵食されている。
クアダイは一度、世界の観光地図から消え去る危険があった。2014年10月、巨大な波が堤防を破壊し、海岸沿い3kmに渡り約200mが侵食された。科学者はビーチの砂がなくなり、水力発電所に侵食する恐れがあると警告している。
地元当局はホイアンの貴重な観光資源であるクアダイを保護するために約700億ドン(約3億5000円)投資を行い、新たな堤防の建設や鉄杭の取り付け、捨て砂を行なった。
国際連合人間居住計画による最新の脆弱性検査によると、2020年までに16世紀〜17世紀の建築物が残されているホイアンAn Dinh区では洪水被害が発生する可能性があるという。
CNNが報道した気候変動により危機に直面する世界遺産として、アメリカのイエローストーン国立公園、ネパールのサガルマータ国立公園、フィリピンのコルディリェーラの棚田群、イタリアのヴェネツィア、日本の知床半島が挙げられた。
アメリカに拠点を置く憂慮する科学者同盟の気候とエネルギープログラム部門のAdam Markham氏は報告書の中で「ほぼ全ての世界遺産が気候変動の危機に直面している」と述べた。
国際自然保護連合(IUCN)の自然地域241箇所における調査によると、世界自然遺産の4箇所に1つは気候変動により危険にさらされている可能性が高いという。
報告書によると、2014年から2017年にかけて気候変動による「急速な危機」が倍増しているという。
ベトナムの戦略政策研究所によると、ベトナムは気候変動により最も悪影響を受ける上位5カ国のうちの1つだという。
過去50年間でベトナムの平均年間気温は約0.5℃〜0.7℃上昇し、水位は約20cm上昇した。
国際連合は1m水位が上昇した場合、ベトナムでは年間に170億ドル(約1兆8347億円)の損失が発生すると発表している。これは人口の5分の1にあたる1800万人が家を失い、農地の12.3%が消滅することとなる。
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