中国ワクチン外交、アセアンでベトナムだけ除外 外相がアセアン歴訪

2021年01月19日(火)13時31分 公開
中国ワクチン外交、アセアンでベトナムだけ除外 外相がアセアン歴訪

中国の東南アジア諸国に対するワクチン外交について、アセアン(ASEAN:東南アジア諸国連合)加盟国のうちベトナムだけ除外される様相を呈している。

 

アメリカのバイデン次期大統領の就任を控え、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は、1月11日〜16日にかけてミャンマー、インドネシア、ブルネイ、フィリピンの4カ国を歴訪した。

昨年10月11~15日には、王毅外相はカンボジア、マレーシア、ラオス、タイ、シンガポールの5か国を歴訪しており、2回の歴訪でアセアン加盟国のうち関係に溝のあるとされるベトナムだけは除外される形となった。

 

12日、中国共産党系メディアの環球時報は、20日にアメリカの政権が交代することに関して「バイデン米次期政権は南シナ海に関わる国をそそのかして中国との関係を薄めようとしてくるかもしれない」と主張していた。

このことから同メディアは、王氏の東南アジアの訪問でワクチン協力は重要な議題になるとの見方を示しており、中国はワクチン協力や経済支援を通じて訪問国の取り込みを進めるとみられていた。

 

17日のロイター通信などの報道によると、王毅外相は歴訪中に新型コロナウイルスの防疫、地域経済回復、一帯一路(陸・海上シルクロード)事業などの地域協力案などについて集中的に議論をしたという。

また、ワクチンについては、新型コロナウイルス感染者が多いとされるフィリピンとミャンマーに対して、中国シノファーム社が製造する新型コロナウイルスワクチンをそれぞれ50万回分と30万回分を無償で提供することを表明した。

フィリピンとミャンマーではそれぞれ、新型コロナウイルス感染者数が約49万人、約13万人にのぼっている。

 

新型コロナ感染者数が85万人を超えたインドネシアでは、すでに中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンを300万回分受け取っている。

さらに同国では、王毅外相の訪問を控えて、同ワクチンの緊急使用許可が11日に出された。

王毅外相がインドネシアを訪問した12日には、シノバック製ワクチン1500万回分の原料が同国に到着した。

 

ブルネイについては、新型コロナウイルスとの闘いにおいて引き続きワクチンを含む協力を実施することを望むと中国側は呼びかけている。

さらに、15日にはカンボジアのフンセン首相が、中国側はシノファーム社が製造する新型コロナウイルスワクチン100万回分(50万人分)をカンボジアへ提供する方針だと明らかにした。

カンボジアでは世界保健機関(WHO)から承認を得たワクチンのみを受け入れる方針を示していたものの、世界的に継続している新型コロナウイルスの状況を受けてWHOが承認する前にシノファーム社からの受け入れを決めたという。

 

東南アジアにおける影響力をめぐっては、中国がアメリカの政権交代のタイミングをとらえ、ワクチンを武器にした外交攻勢を強めていることがうかがえる。

一方で、王毅外相は2度東南アジアを歴訪しているものの、ASEAN10か国のうち唯一ベトナムだけ歴訪の対象国となっていない。

 

2020年、新型コロナ渦にありながらもベトナムは中国の6大貿易相手国となった。

これについて「サウスチャイナ・モーニングポスト」は、ベトナムはアセアン加盟国の中で最初に中国の通信企業の華為技術(ファーウェイ)を拒否し、新型コロナ初期に中国国境を封鎖したとして、南シナ海の領有権問題やメコン河流域の開発問題をめぐり、両国間の政治的緊張が高まったことが挙げられると指摘した。
 

 

 



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