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多国籍企業がベトナムの工業団地に注目、続々と進出
〈写真:VnExpress〉
ヨーロッパやアジアに本社を置く多国籍企業の多くが、ベトナムの工業団地への投資し、生産の立ち上げや事業拡大を行なっており、ベトナムの潜在的な成長力が注目を集めている。
第1四半期末には、ドイツの潤滑油大手「Fuchs Petrolub」がベトナム事業の拡大を発表し、ホーチミン市に隣接するバリア・ブンタウ省のフーミー3特別工業団地(PM3 SIP) に2万平方メートルの新工場を建設することを明らかにした。
90年以上の歴史を持つ同社は55年間のリース契約を締結し、ベトナムに長期的なコミットメントを示すこととなった。
タンビンフーミ株式会社の風間副社長によると、「Fuchs Petrolub」はPM3 SIPでの2番目のヨーロッパ企業であり、同工業団地に投資を望む他の西洋の投資家を引き付ける絶好の機会である。
2月、ドイツの大手プラスチック技術メーカーである「Framas」が、ホーチミン市に隣接するドンナイ省のニョンチャック2工業団地(KTG Industrial Nhon Trach 2)にある2万平方メートルの施設を10年間賃貸する契約を締結した。
2月17日には、「LOGOS」と「Manulife Investment Management」が合弁会社を設立し、総面積11万6000平方メートル、8000万ドル(約100億2228万円)の物流工場を取得した。
同時期に、シンガポールの不動産会社「CapitaLand Development(CLD)」は、北部バクザン省に10億ドル(約1252億7900万円)を投資し、工業団地、物流、都市部を開発する覚書に調印した。また、ニューヨークに本社を置く「BW Industrial Development JSC」は、北部クアンニン省のBac Tien Phong工業団地にある約7万4000平方メートルの面積のDEEP C工業団地を買収した。
今年最初の2ヶ月間で、北部タイグエン省は9億2400万ドル(約1157億円5700万円)の海外直接投資(FDI)を誘致し、この期間の国内FDI総額の約18.5%を占めた。その中でも、サムスン電機ベトナムによる9億2000万ドル(約1152億5600万円)の投資が際立っている。これにより、タイグエン省イエンビン工業団地への投資資金は22億7000万ドル(約2843億8200万円)に上った。
また、同じくホーチミン市に隣接するビンズオン省では、第1四半期にデンマークが13億ドル(約1628億6200万円)を投じて最大の投資家となり、登録資本金総額の78.9%を占めた。3月中旬、ビンズオン省はレゴグループに対し、ベトナム・シンガポール第3工業団地(VSIP III)における資本金10億ドル(約1252億7900万円)超のプロジェクトに対する投資証明書を付与した。これはLEGOの世界第6位、アジアでは第2位の工場で、第1位は中国江蘇省に建設されたものである。
工業用不動産市場の熱気は、第2四半期に入っても続いている。4月上旬、台湾の「HuaLi」グループは、第1WHA工業団地および第1ホアンマイ工業団地と投資協力協定を締結した。
北中部のゲアン省にある第1ホアンマイ工業団地に、「HuaLi」は2023年3月に完成予定の履物工場を建設する予定である。工場が稼働すると、年間2500万足の靴が生産され、約1万6000人の労働者の雇用が創出される。
第1WHA工業団地には、2023年6月までの完成予定で7万3000平方メートルの敷地に3800万ドル(約47億6100万円)の工場を建設する。同工場では、年間1300万足の靴を生産し、約8000人の労働者の雇用が創出される。
同国の工業用不動産市場への国際的な投資の大量流入は、過去2年間で既に賃料が上昇していたにもかかわらず、更に賃料を押し上げ続けている。
「JLL」の2022年第1四半期の工業用不動産市場レポートによると、航空便の復旧と国際観光の開放後、ベトナムに流入する新たなFDIにより、工業用地価格は8.5%増の強い成長を維持。工業用地の平均賃貸料は1平方メートルあたり120ドル(約1万5000円)となっている。
報告書によると、既製の工場市場は、同国で生産を設立または拡大することを選択しながらも、費用と時間を節約して迅速に操業を開始したい顧客、特に海外の顧客のニーズを満たすために、より大規模に移行している。
不動産管理コンサルタント会社の「Savills Vietnam」も、同国が2022年初頭に多くの国際的な産業用不動産開発業者の注目を浴びていることを確認しているという。工場以外にも、産業用不動産のもう1つの分野であるデータセンターと物流センター分野で、質の高い投資の増加を記録している。多くの米国やヨーロッパの大企業がベトナム市場に参入する機会をうかがっており、適切な場所を選択するために綿密な調査と分析を実施している。
コンサルティング・トレーニング会社「North Stars Asia」によると、国際便の再開と貿易協定により、2022年は同国の工業用不動産に外国資本を呼び込む大きな機会が開かれるという。
同社によると、同国は世界貿易協定の数と対象範囲において、アジアでシンガポールに次いで2番目の国である。ベトナムと貿易協定を結んでいる国のGDPの合計は、世界のGDPの53%を占めている。
また、米中貿易戦争や北朝鮮の緊張状態の影響から、ここ数年、韓国や中国がベトナムに投資する傾向が生まれている。2022年の最初の数ヶ月で新規FDIをリードしているシンガポールや他のアジアの投資家グループは、中国にとってベトナム市場への間接的な投資チャネルになり得る。
同国が大規模なFDIの流れを引き寄せている大きな要因の1つは、タイのわずか60%、マレーシアの31%、中国の25%という低い労働コストだ。また、ベトナムの法人税は20%とこの地域で最も低いことに併せ、各省がFDI企業に対して多くの税制優遇措置を提供している。加えて税金や人件費だけではなく、工業用地の賃貸料も、ベトナムは他のASEAN諸国と比較して非常に安価である。
南北高速道路やLong Thanh空港などのプロジェクトに対する公共投資を促進するための政府の153億ドル(約2兆円)の支援策も、ベトナムの物流コストを大幅に削減し、それによって工業地帯の投資ポテンシャルを高めることにつながる。
「Savills Vietnam」の産業サービス部門責任者によると、ベトナム経済は内需が回復し、FDIフローが安定した増加を維持するため、2022年には同国はプラス成長する。また、同国のビジネス状況はパンデミックの経験により大きく改善されたという。
国際便復航で外国人投資家が戻ってくること、政府の積極的な支援、国内企業の回復力、困難な状況への適応力など、好条件が揃っており、今年から数年間、産業用不動産市場は有望であると予測されている。
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