ホーチミン市の合理化政策の失敗、膨大な仕事量に少ない職員

2022年06月17日(金)18時41分 公開
ホーチミン市の合理化政策の失敗、膨大な仕事量に少ない職員

〈写真:VnExpress〉

 

ホーチミン市のいくつかの地域では、職員の数と仕事量が合っておらず、職員が仕事に追われる状態となっている。

 

6月初旬のある日の午後5時過ぎ、ビンチャイン区Vinh Loc Aコミューン人民委員会の事務所では、書類を封印してめくる音が絶え間なく続いていた。

 

火曜日と木曜日は午後6時半まで事務所が開いていて、仕事後の人たちを対象にサービスを提供している。

 

同コミューンでは毎日350件ほどの行政記録があり、同事務所で働く36人で処理を進めなければならない。

 

同事務所で働くグエン・ティ・ヌ・アンさん(35)は、「3日以内に期限切れとなる書類もあるため、翌日に回すわけにもいかない。このような仕事のプレッシャーは、2021年以前には経験したことがない」と話す。

 

昨年1月にホーチミン市の行政機関が合理化されて以来、アンさんが所属するチームは35人からわずか5人に縮小され、非常に多くの仕事を処理しなければいけない状態となった。

 

アンさんは月給600万ドン(3万4610円)程度で、1日10時間以上働いている。

 

Vinh Loc Aは、16万7000人以上の人口を抱える同市内で最も人口の多いコミューンである。その人口は、北部バクカン省の半分、フーニュアン区の人口に匹敵する。

 

しかし、同コミューンに割り当てられた公務員数はバクカン省の1489人、フーニュアン区の436人に対し、36人にとどまっている。

 

2019年に出された政府令によると、同市はシステム合理化のために、区やコミューンの公務員2299人を削減しなければならない。

 

政令は、各政府職員にコミューン・街区レベルで850人にサービスを提供することを課しているが、同市内の312の街区やコミューンの間でその割合は大きく異なっている。

 

Vinh Loc Aの職員は4600人の住民に対してサービス提供を行う一方で、トゥードゥック市のAn Loi Dong街区の職員は43人の住民にサービスを提供する。

 

Vinh Loc Aが直面している困難は、同市内にある人口5万人以上の48の街区やコミューンの典型的な例である。これらの48地域は、ベトナムの国会が定める標準的な規模の3倍以上の規模となっている。

 

同市で最も人口の多いビンタン区のレー・ヴァン・ティン元党首は、昨年のパンデミック下の状況は、各地域が深刻な人員不足に陥った際に、状況がいかに悲惨なものになるかを示していると指摘する。

 

社会的隔離期間に同区内の各地域は、住民8万人の面倒を見なければならなかったが、公務員はわずか36人しかいなかった。

 

同氏によると、ビンタン区は80万人以上の住民と10の地域を擁しているが、ビンタイン区は47万8000人の住民と20の地域を擁している。

 

人口規模が違うため仕事量は違うが、地域レベルの公務員の給料は同じである。

 

実際に仕事の重圧で退職した公務員も多数いる。Vinh Loc A行政は、仕事量と給与といった理由を挙げて退職した2人の職員の辞表を承認したばかりである。

 

同市内務局のNguyen Thi Hong Tham副局長によると、地域の国家公務員数は、行政単位の分類に基づく政府の政令に従って割り当てられる。しかし、この政令は人口密度や規模が大きく、複雑で急速な都市化プロセスを経ている地域への考慮がされていない。

 

同市は、内務省に公務員に関する同市の特別な政策を出すように複数回にわたり提案を行なっているが、すべての提案が断られている。

 

同省は、人口は地域を街区やコミューンに分類する基準の1つに過ぎないため、そのレベルの国家公務員を増やす根拠がないとしている。

 

 

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