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ハノイのバス高速輸送システム不調、設計変更が原因:世界銀行
〈写真:VnExpress〉
世界銀行はハノイ市のバス高速輸送システム(BRT)の集客不調に対して、設計が当初の計画から変更されたことが原因であると指摘する。
世界銀行から資金援助などを受け完成した「キンマー〜イェンギアBRTライン」は、運行開始後6年経っても期待された効果を収めることができずにいる。
批評家たちによると、同BRTラインは十分な乗客を集めることも、市内の公共交通システムに弾みをつけることも、渋滞を緩和することもできていない。
しかし、世界銀行の交通・ICTグローバルプラクティスで都市交通のシニアスペシャリストを務める榊茂之氏は、BRTは乗客数で目標を達成できなかったが、通常のバスよりも高い水準の新しい公共交通機関の基礎となったと指摘する。
同氏によると、BRTの有効性は車を使いたくない、車を使えない人のための乗り物として評価される必要がある。
BRTは環境に優しいということに加え、2030年までの同市の交通網計画で、公共交通機関が交通需要の50〜55%を占めるようになるという重要な役割を担っている。
同氏はBRTラインが期待に応えられない理由について、その設計や運用が当初の計画から変更されたことが関係しているとの見方を示した。
同市のBRTは2路線で全長23キロの予定であったが、現在は1路線で14.7キロの運行となっている。また、現在の路線には専用レーンのない2.5キロの道路区間が含まれている。
当初の設計ではBRT専用の車線を設け、物理的なバリケードと警告標識を設置して、他の車両を排除するように計画されていた。
公共交通ネットワーク間の相互接続性がないことも、BRTが本来のポテンシャルを発揮できない理由となっている。BRTだけでは市内の全目的地をカバーすることは不可能で、すべての交通需要を満たすことができない。
BRT専用レーンには他の車両が頻繁に侵入しており、この違反に対する罰金も十分ではない。さらに、BRTにはまだ自動改札機がなく、当局も当初の設計通りBRTに優先信号システムを採用していない。
同氏はBRTが効果的ではないとして廃止するかどうかについては、ハノイ市人民委員会が決定することだと述べた上で、BRTは通常のバスよりも優れた公共交通機関であり、このモデルは多くの国で公共交通機関の定番として成功を収めていると強調した。
ハノイ市ではBRTの利便性を高めるために、乗車回数の増加、専用レーンの使用、通常のバスや地下鉄との接続性の向上などを引き続き行うべきである。また、BRTと地下鉄のための土地区画を計画し、都市計画における交通指向型開発(TOD)モデルの基礎となるべきである。
また、BRTよりも地下鉄の方が完成までに必要な時間と費用がはるかに多いため、現時点ではBRTが同市の公共交通機関として適切な形態である。
同氏によると、世界銀行はBRTがその真価を発揮できるように、ハノイ市人民委員会を喜んで支援を行う。他の国々が経験しているように効果的な公共交通システムは、人々がいつでもどこでも簡単にBRTや地下鉄、バスを利用できるようなものでなければならない。
歩行者や自転車のための車線が増え、バスや地下鉄の駅も増えることで、安全・便利・安価に公共交通を利用できるようになる。そして人々は自動車よりも公共交通を利用することに満足感を覚えるようになるという。
さらに同氏は「ハノイ市では繁華街での駐車規制や排ガス課税など、自家用車の利用制限を行う施策をもっと進めるべきである。また、ピーク時の繁華街への車両乗り入れ制限も正しい方向への一歩になるだろう」と指摘する。
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