汚染や塩害、ホーチミン市の水供給は深刻な状態

2022年08月04日(木)15時45分 公開
汚染や塩害、ホーチミン市の水供給は深刻な状態

<写真:VN Express>

 

増え続ける汚染物質、老朽化した配水網、塩分の侵入などが相まり、1300万人の命の源であるホーチミン市の水道が深刻な問題に直面している。

 

資源環境省が以前行った報告では、2020年にドンナイ川へ排出される廃水の総量が1日470万立方メートルに達すると予測されていた。この排水量はベトナム全体の排水量の3分の1を占めている。

 

ホーチミン市7区付近でドンナイ川と合流する、ベトナム南部で最も汚染された河川のひとつであるサイゴン川の水質も年々低下している。

 

過去10年間にわたってサイゴン川とドンナイ川は、全国平均の1.5倍の速度で成長する南部重点経済区の経済成長を牽引する「燃料」となっている。2019年だけでも51億立方メートル以上の水を多数の工場に提供しており、この数字はベトナムの工業用水全体の68.3%を占めている。

 

同時に日々多くの排水が河川に排出されており、「燃料」を使う代償として環境が消費されている。

 

2014年〜2020年のわずか7年間で、河川に排出される工業排水の量は1日11万立方メートルから121万立方メートルと11倍に増加した。また、単に排水の量が多いことが問題なのではなく、汚染物質の種類が多様化して検出することがが難しくなってきている。

 

過去10年間でビンズオン省とホーチミン市を流れるサイゴン川区間では化学的、生物学的な多数の汚染物質や汚濁物質が非常に頻繁に発見されている。これらは水の色や味、匂いを変えるだけでなく、下痢などの消化器系の症状を誘発する。

 

環境省が出した規定によると、地表付近の水質は6カ月に1度、水道水は1カ月に1度評価しなければならない。

 

アジア水研究センター(CARE)による2021年の調査では、サイゴン川で環境省と保健省の水質指標に含まれていない新たな汚染物質が検出された。同センターは、既知の有機微量汚染物質205種類のうち106種類をサンプルから検出した。

 

昨年4月に発表された別の調査結果では工業、農業、日常活動を通じて発生する特定の微量汚染物質が、ホーチミン市とその近隣のタイニン省、ビンズオン省の水道水から検出されたことが明らかになっている。

 

CAREのグエン・フック・ダン教授は、「これらの汚染物質は、ホーチミン市の原水供給地点付近で検出されており、市民が使用する水源に影響を与える可能性がある」と述べ、ベトナムには検査のための技術とリソースがないため、分析のためにサンプルをスウェーデンへ送る必要があったことを明らかにした。

 

幸いなことに、これらの微量汚染物質は低レベルで検出され、まだ国際基準の範囲内であったが、これは水源が汚染されていることを示すものであり、この問題を見過ごすことはできない。

 

ダン氏は、発生する汚染物質が下流の水に影響を及ぼす可能性を考慮し、工場や工業団地はビンズオン省やタイニン省のような上流地域ではなく、ホーチミン市やバリア・ブンタウ省のような下流地域に設置すべきである、工業団地の建設計画は地方ではなく地域によって行われるべきであると指摘する。

 

1300万人が暮らすホーチミン市の原水は、これまで以上に持続不可能であることが判明している。140年の歴史を持つ水処理・配水システムは経済成長に追いつくことができないでいる。

 

水質管理部門の責任者であるチャン・キム・タック氏によると、ホーチミン市では水をろ過するために予備酸化と凝固の方法を用いた後、塩素で処理し、微生物を取り除いてから、人々の家に届けられる。

 

このろ過システムは基本的な水質基準しか満たすことができず、抗生物質や有機微量汚染物質などの新しい有機汚染物質に対処することは出来ない。また、現在の技術では塩で汚染された水を処理することもできない。

 

過去7年間、ホーチミン市の水処理に使用される化学物質の量は建設省の基準よりも常に多い。水のろ過に使われる石灰の量は現在の基準値の約10〜13倍、塩素の量は約1.8〜2.6倍、ポリ塩化アルミニウムの量は約3倍となっている。

 

タック氏によると、ホーチミン市の水源は通常よりはるかに汚染されており、浄化には多量の化学物質が必要となる。ホーチミン市の水道水の水質は保健省が定めた基準をクリアしてはいるが、水処理システムが「古すぎる」と言われており、多くのリスクを抱えている。

 

水中のアンモニウム濃度が高くなり、塩素で処理したままだと、亜硝酸塩や硝酸塩などの有害物質が発生し、摂取すると腎臓結石など多くの症状を引き起こす可能性がある。

 

問題は水処理システムにとどまらず、ホーチミン市内での水の配給方法にも及んでいる。

 

2014年にはホーチミン市の3大浄水場が塩素、マンガン、鉄分などの品質基準を満たしていないことが保健省により発覚し、大きな水危機が発生した。同市西部の一部の地域の水道水は下痢を引き起こす数種類の細菌に汚染されていたのである。

 

調査の結果、水道管内の水圧が一定でないことが原因であることが判明した。処理場の近くでは水圧が高く、下流域では低い状態となっていた。水圧差によって鉄やマンガンなどの沈殿物がパイプに付着し、水流の乱れが生じると、これらの沈殿物が水流とともに流されて汚染される。

 

これらは、60年の歴史を持つホーチミン市の配水網(全長8200キロ)の最も典型的な弱点である。

 

過去には塩分侵入による深刻な水危機も発生している。2016年にタンヒエップ浄水場Hoa Phuポンプステーションの水の塩分濃度が4時間にわたって300mg/lを超えて危機的な状況となった。

 

ホーチミン市にはドンナイ川から取水する西側のトゥードゥック浄水場と、サイゴン川から取水する東側のタンヒエップ浄水場の2大給水エリアがある。東側は安定した水供給が行われているが、西側は河川の汚染と塩害という2つの苦境に同時に立たされている。

 

気候変動に関する政府間パネルによる2021年の気候変動報告書によると、今世紀末にかけてドンナイ川の降雨量が増加し、水位が上昇することが予想されている。

 

複数の専門家は「これは海水面の上昇を意味しており、塩害のリスクを悪化させる」と警告する。

 

塩害で最も被害を受けるのは、下流の淡水ポンプ場であり、塩分は一度淡水域を汚染すると除去ができないため、塩分がなくなるまで取水を止めるしかない。

 

水質汚染、処理システムの遅れ、気候変動による塩害は、ホーチミン市の水の安全保障にとって最も危険な脅威である。経済成長と人口増加に伴い、処理すべき廃水は増加の一途をたどっている。

 

ホーチミン市では水の安全保障に対する早急な対策が必要である。

 

 

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