緩いベトナムの食品添加物規制、年内に新規制の草案完成か

2022年09月19日(月)11時24分 公開
緩いベトナムの食品添加物規制、年内に新規制の草案完成か

<写真:tuoi tre>

 

ベトナムでは現地監督官庁が危険性のある化学物質に関するガイドラインの発行を行っておらず、先進国・後進国を問わず使用が禁止されている化学添加物の多くが使用可能な状態になっている。

 

特にインスタントラーメンには酸化エチレンという多くの国が使用を禁止している薬品が含まれていることが判明し、世界各国でベトナム製品の回収が行われている。

 

7月中旬、地元報道機関の記者がホーチミン市ビンチャイン郡のVinh Loc工業団地にあるX.L.食品加工株式会社の工場で潜入取材を行ったところ、5平方メートルの化学薬品庫で白い物質が発見された。

 

同社の従業員の1人はジャガイモを白くするために使う塩の一種だと説明し、X.L.社の主製品であるジャガイモで包んだエビ製品を作る行程で、同薬品にジャガイモが柔らかく色が均一になるまで浸け込まれていた。

 

後の調査で施設内で見つかった白い物質は中国から輸入した硫酸マグネシウム(別名エプソムソルト)であることが明らかになっている。

 

ベトナムでは硫酸マグネシウムの添加物としての使用が認められているが、欧州連合(EU)や米国では禁止されている。

 

同社で勤務していたTさん(41)は18歳で入社して21年間勤めたが、工場で使う化学物質の影響によって静脈瘤ができたり、副鼻腔炎になったりして退職したという。

 

同国では消費者の健康を保護し、食品取引の公正な慣行を確保することを目的とした国際的な基準、ガイドライン、実践規範を集めたコーデックス規格と保健省の通達「24/2019」によって硫酸マグネシウムを固化材や風味改良剤として食品に使用できることになっている。

 

硫酸マグネシウム以外にもホウ酸や人工脂肪の代用品、保存料ブチルヒドロキシアニソールといった薬品等が他国では禁止されているが、ベトナムではこれらの物質に関する規制はされていない。

 

保健省ベトナム食品局のチャン・ベト・ガー副局長は、最近政府が商工省に対して韓国や日本に倣って食品中の残留エチレンオキシドに関する規制を設けるよう指示したことを明らかにした。ベトナムはコーデックス委員会の基準に従っているがエチレンオキシドの使用に関する規制はまだ出されていない。

 

ベトナムでは食品の安全性を管理するために保健省をはじめとする4つの省が関与しており、関連機関の多さが規制を難しくする原因となっている。

 

米国やEUなどの先進国やブロックでは添加物はより慎重に研究され評価されており、米国やEU、日本ではこれらの物質の使用に関する規制がより厳しくなっている。ベトナムは先進国から学び、規制を更新する必要がある。

 

農業農村開発省傘下の国家農林水産品質保証局のグエン・ヌー・ティップ局長によると、ヴー・ドゥック・ダム副首相は同省が管理する製品の食品安全に関する国家規格の草案を作成するよう要請した。

 

商工省傘下の科学技術部の代表は保健省は各省が管理すべき製品グループを分類し、各省が製品ごとに基準を策定していることを明らかにしている。

 

2022年末には各省庁が基準の策定を完了する予定であり、食品中の残留物質に関する制限は保健省が公表し、規制の草案は農業農村開発省と商工省が保健省と共同で構築する予定である。

 

同代表者によると、草案の基礎を築くために関連機関が科学的根拠と現実を研究している最中で、規格構築中の利点や困難さ、ベトナムがどの国の規格をベースにするかを議論することは現時点では不可能である。

 

この草案は完成後に保健省に送られて統合される予定となっている。

 

 

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