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メコンデルタ最大の水上マーケット、消滅の危機
<写真:VnExpress>
メコンデルタ最大級の水上マーケットとして知られるカントー市のカイラン(Cai Rang)水上マーケットでは、出航する商人が年々減少しており、現状が継続すれば消滅の危機を免れないという。
3月某日早朝に地元メディアが調査を行ったところ、同水上マーケットには農産物を売買する商人たちが集まるボートがほぼ不在となっていた。
同水上マーケットで26年間にわたって農産物の売買を行うタイン氏によると、以前は毎朝500~600隻の船が集まっていたが、最近は過去に例を見ないほど閑散としてしまっている。
数年前までは米や野菜、果物といった農産物を積んだ船が互いに寄り添うように停泊し、1km以上にわたって川面の3分の2近くを覆うように列をなしていたが、市場に来る船や商人の数が徐々に減少し、現在は1日に30〜40隻ほどの船が集まる程度になってしまった。
多くの人が船からトラックに乗り換え、カントー市当局がカイラン川沿いに高すぎる浸食防止堤防を建設し、船への物資輸送が不便になったことが原因であるという。
また、商人や船の減少によって観光客の誘致も行き詰まりはじめている。
ホーチミン市の某観光会社によると、同社でツアーを予約した顧客の70%以上がカイラン水上マーケットを希望して訪問するが、大半が期待した体験ができずに失望するという。
同水上マーケットは何十年もの間にわたってメコンデルタでトップクラスの観光名所となっており、多くの国際的な出版物や観光サイトが同水上マーケットへの訪問を推奨している。
しかし、推奨されるような船から船へと忙しく商品を交換する商人たちの光景や、船の上で提供される温かい食事を楽しむことは既にできない状態になりつつある。
カントー市は2016年にカイラン水上マーケットが国の無形文化遺産に認定されたことを受け、その保存と持続的な発展のための630億ドン(約3億6216万円)のプロジェクトを承認した。
同プロジェクトでは川沿いの観光商品開発のための数百世帯への支援、川で土産物や食品、農産物を販売する船の組織化、40の浮き筏の合法的な停泊地への移動といった項目を完了しているが、市場に滞在する商人を惹きつけるには至っていない。
文化研究者で観光専門家のナム・フン氏によると、同水上マーケットは単なる市場ではなく、南部で何世代にもわたって受け継がれてきた商品の売買方法やコミュニティのライフスタイルといった独自の文化的価値を持つ市場である。
しかし、その市場を保存するためのプロジェクトは文化的価値を保存するといった視点を持ち合わせていないという。
水上マーケットは商人がいて初めて成り立つものであり、最も重要な目標は川での取引活動を維持することである。
同氏はカントー市が観光開発のために民間投資家へ水上マーケットの運営を許可することを提案している。
市場を管理するカイラン区人民委員会の副議長によると、同区は市場に商人を呼び戻すことを目標として、2025年までに桟橋と埠頭を建設する350億ドン(約2億120万円)のプロジェクトを承認した。
また、カントー市人民委員会は、同水上マーケットを保護するためのアイデアや解決策を各分野の専門家に提供させるための会議を開催する予定であるという。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。