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ベトナムのバンカシュアランス、契約増加の背景に誤解や不正も

2023年08月17日(木)15時18分 公開
ベトナムのバンカシュアランス、契約増加の背景に誤解や不正も

<写真:iStock>

 

ベトナムではバンカシュアランスが銀行と保険会社の収益向上に寄与しているが、多くの顧客が誤解や不正によって不要な保険を契約しているという実態が明らかになった。

 

ホー・ゴック・アイン・トゥーさん(18)は2020年7月に銀行口座開設のため、サイゴン商業銀行(SCB)を訪れた。

 

トゥーさんの目的は母親の事業を手伝って得た1億5000万ドン(約92万円)を預けることであったが、銀行員は1億ドン(約61万円)を通常の預金口座に、残りの5000万ドン(約31万円)を「高リターンの長期投資」に預けることを勧めた。

 

1年後、トゥーさんは年間5000万ドン(約31万円)の保険料支払いの通知を受け取り、これが生命保険であることを初めて知ったという。

 

2022年10月に同行に対する初の苦情が出された後、多くの顧客から公安省に苦情が寄せられるようになった。

 

この問題の中心には、マニュライフ生命が銀行を通じて販売している年間最高1億ドン(約61万円)の保険料がかかる「Tam An Dau Tu」という投資リンク保険(ILP)があった。

 

ベトナム国家銀行は、融資の前提条件として生命保険への加入を求める銀行の行為に対して警告を発していたが、多くの銀行はこの警告を無視し、保険を「賢い貯蓄」として顧客に売り込んでいた。

 

2015年〜2021年はバンカシュアランスの黄金時代と言われており、この期間中に銀行は初年度に顧客から受け取った保険料の手数料を得ることができた。

 

しかし、銀行が販売する保険契約の多くは継続されず、バンカシュアランス業界の異常な成長と顧客からの多数の苦情を受けて財務省が複数の保険会社を対象に実施した調査では、銀行経由で保険に加入した顧客の30%以上が初年度の保険料しか支払っていないことが判明している。

 

新型コロナウイルスが猛威を振るった2年間は貯蓄金利は歴史的な低水準に留まった。

 

多くの人々が6%の金利を提供する銀行よりも他の投資、特に株や債券に目を向けるようになり、ILPはしばらくの間、多くの人から人気を集めた。

 

本来、生命保険は死亡や怪我をした際に経済的なサポートを提供することを目的としているが、時が経つにつれてこれらの商品は単なるリスクからの保護だけではなく、貯蓄と投資の要素も加わるようになった。

 

ILPやその他の類似商品は、多くの顧客に販売されたが、商品の保障部分と投資部分の違いについて、顧客が十分に理解しているとは言えない状況であった。

 

販売者は保障の重要性について顧客に説明し、その上で投資部分に関しても助言するべきであったが、実際には多くの販売者が単に高い利益と健康リスクからの保護を強調して商品を販売していた。

 

これにより、多くの顧客が貯蓄と保険が一体化した商品であると誤解し、複数の顧客は銀行が資金を運用し、保険がそれに付随していると考えていたという。

 

財務省は財務省は、ILPのような複雑な商品を提供する際の適切なアドバイスの欠如に関して、保険会社を提訴した。

 

適切なアドバイスの欠如が原因で、多くの顧客が後に法的手段を取ることを余儀なくされた。

 

ホーチミン市経済大学の教授であり、保険に関する研修も行っているチャン・グエン・ダン氏は、ILPのような商品は非常に有用であるが、良い面と悪い面の両方があると指摘する。

 

ダン氏によるとアメリカではILPのような商品は保険市場が成熟した後に登場したため、同国の消費者はこれらの商品をよく理解しているという。

 

しかし、ベトナムでは多くの顧客が商品の特徴やリスクを十分に理解せずに購入するケースが増加しており、同氏は保険業界が急速に成長している一方で、十分なトレーニングや教育を受けていない代理店が増えていることに懸念を示している。

 

SCBとマニュライフの間に生じたトラブルは、瞬く間に他の銀行や保険会社にも影を落とし、大手保険会社によると至る所で混乱した顧客らから契約解除の要求が寄せられた。

 

保険料収入は長らく二桁の成長を記録していたが、今年上半期に初めて減少したという。

 

業界関係者は保険業界が「史上最大の危機」に向かっているとの見解を示しており、関連省庁は保険代理店が顧客との対話の録音の義務づけ、銀行で保険と銀行サービスの窓口を分けるといった新しい規制を検討中である。

 

しかし、専門家らはこれらの対応では十分ではないとの懸念を示しており、システム全体の問題への対応が求められることを強調するとともに、保険業界の健全な成長のためには、品質中心の取り組みが必要であり、企業は過度な営業活動を抑えるべきだと指摘している。

 

ダン氏は、ILPのような複雑な商品を販売する前に、代理店に試験を受けさせ、年に一度の再試験を義務づけるべきであると提案した。

 

財務省は今年初めにILPを販売する代理店の基準を引き上げており、某保険会社の役員によると、ILP試験に合格する代理店の数は昨年に比べて半減している。

 

このバンカシュアランスの危機はいくつかの前向きな変化ももたらしており、バンカシュアランス契約の中には顧客維持率を規定するものもある。

 

プルデンシャル生命保険と新しい契約を締結したベトナム国際商業銀行(VIB)は、この規定を取り入れた銀行の一例であり、両社は顧客へのサービス品質を確保するための新たな基準を設ける協議会を設立している。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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