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労働者にとっての2大都市、アジアで最も住宅所有が困難
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<写真:doanhnghieptiepthi.vn>
不動産サービス大手CBREの最新報告によると、ハノイ市とホーチミン市は、労働者の平均所得に対する住宅価格の乖離がアジアで最も大きい都市の1つとされており、シンガポールをも上回る状況にある。
ハノイ市とホーチミン市の住宅価格は住民の所得水準に対して極めて高く、住宅購入が困難な状況が続いている。
ハノイ市の平均的な分譲マンション価格は1㎡当たり2600ドル(約40万4120円)、一方で一人当たりGDPは年間6300ドル(約97万9230円)にとどまる。
ホーチミン市ではマンション価格が1㎡当たり2800ドル(約43万5220円)であり、一人当たりGDPは約7500ドル(約116万5750円)にとどまる。
この結果、所得に対する住宅価格の比率(1㎡当たりの住宅価格÷年間所得)は、ハノイ市で2.4、ホーチミン市で2.7となり、住宅取得のハードルの高さを示している。
この比率が高いほど、所得に対して住宅価格が割高であることを意味する。
比較として、マレーシアのクアラルンプールでは住宅価格がハノイ市と同水準の1㎡当たり2600ドル(約40万4120円)であるが、一人当たりGDPは2万8000ドル(約435万5120円)とハノイ市の4倍以上に達している。
報告書によれば、住宅価格と所得の乖離が最も深刻な都市は香港であり、この比率は1.7となっている。次いでマニラが2.3、ソウルが2.3と続き、ハノイ市やホーチミン市はこれらと同等の水準にある。
CBREは「この数値を見る限り、ハノイ市とホーチミン市の労働者は、シンガポールの住民よりも住宅を取得しにくい状況にある」と指摘している。
不動産情報サイト「Batdongsan」による別の調査でも、ハノイ市とホーチミン市は東南アジアで最も住宅価格と所得の乖離が大きい都市に分類されている。
同調査によると、ハノイ市の住民が一戸建て住宅を購入するには約50年分の所得が必要であり、マンション購入でも23年分の所得を要する。
ホーチミン市では、それぞれ53年分、24年分の所得が必要となる。
国際通貨基金(IMF)の基準では、住宅価格が世帯の30年分の所得を超えない場合、購入可能な水準とされる。
しかし、ベトナムの主要都市ではこの基準を大きく上回る状態が続いている。
ホーチミン市発展研究所の調査によると、都市部の住民の多くは、希望する不動産の半額程度のみ負担可能なのが現状である。
専門家によれば、2023年時点で不動産価格は2019年比で30%以上上昇しており、新規供給の減少が価格高騰を招いた。
また、一部の開発業者が供給不足を背景に不当に価格を引き上げた可能性も指摘されている。
さらに、投資先の選択肢が限られる中、不動産市場への投資需要が高まり、値上がり待ちの投機的な購入が増加した。
これにより需給バランスがさらに悪化し、市場全体の価格を押し上げている。
不動産市場の専門家であるグエン・ヴァン・ディン氏によると、都市部の実需向け不動産(マンションや一戸建て住宅)の価格は、今後も下がりにくい見込みである。
その要因として、開発用地の不足、建設資材や人件費の高騰、さらには土地関連費用の上昇が挙げられる。
こうした背景から、今後も商業住宅の取得は一層困難になる可能性が高い。住宅取得をめぐる課題が続く中、政府の住宅政策や市場の動向が注目される。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。