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ハノイ旧市街に闇営業広がる、電子インボイス義務化の影響

<写真:dantri.com.vn>
ハノイ市の旧市街において、衣料品店や靴店などの多くがシャッターを閉じたまま営業を続ける闇営業が広がっている。
背景には6月1日から始まった電子インボイス(電子請求書)の義務化と、それに伴う税務当局の取り締まり強化がある。
6月6日午前、繁華街として知られるホアンキエム区のハンダオ通りやハングン通りでは、約8割の店舗が閉店状態にあった。
しかし、顧客はシャッターの隙間から中の様子をうかがい、顔なじみの店主と連絡を取って商品の購入を行っていた。
ある女性客は「常連だからこそ店に入れたが、まるで違法行為をしているような気分だった」と語る。
購入後、店はただちにシャッターを閉め、外からは営業していないように装っていた。
多くの店舗では、事前にZaloなどのSNSを通じて商品を選び、現地で受け取る方式を採用しており、支払いは現金が推奨される。
一方で、電子マネーやクレジットカードなどのキャッシュレス決済は敬遠されているという。
今回の動きは、政府による税制改革の一環として進められた電子インボイスの義務化が直接の引き金となっている。
新制度では、年商10億ドン(約600万円)を超える個人事業者に対し、税務当局と接続されたレジシステムと電子インボイスの導入が義務付けられた。
これにより、これまで「推定課税」に基づいていた収入申告は、今後、実際の売上に基づく厳密な管理へと移行する。
しかし、小規模な事業者にとっては制度対応が困難であり、仕入れ商品の出所に不透明な部分があるケースも少なくない。
そのため、営業を停止する店舗も出始めており、こうした状況は旧市街だけではなく、ハノイ郊外や全国各地の市場にも広がっている。
専門家は、今回の混乱は透明性の高い市場経済への「移行期」にあたると分析する。
法令順守の徹底と経営体質の強化が求められており、法曹関係者からは「納税は国民の義務であり、回避ではなく、成長と税務履行の両立を図るべきだ」との声も上がっている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。