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ADBのベトナム成長率見通し、堅調な輸出とFDIにより6.7%に上方修正

<写真:vietnamplus.vn>
アジア開発銀行(ADB)は9月30日、ベトナムの2025年実質GDP成長率見通しを従来の6.3%から6.7%へと上方修正した。
米国による報復関税の影響が限定的にとどまる一方で、輸出と外国直接投資(FDI)の堅調な伸びが背景にある。
ADBの経済専門家グエン・バ・フン氏は、米国の新関税導入にもかかわらず、ベトナムが他の地域貿易国と比較して相対的に有利な税率を維持している点が、競争力の確保につながっていると指摘した。
ベトナム政府は2025年の経済成長目標を8.3〜8.5%に設定しているが、ADB以外の国際機関もおおむね前向きな見通しを示している。
シンガポールのUOB銀行は同年の成長率予測を7.5%に引き上げ、世界銀行(WB)は6.6%成長を見込んでいる。
1月から8月にかけての輸出額は前年同期比14.8%増の約3060億ドル(約45兆8388億円)に達し、とりわけ対米輸出が26.4%増と顕著な伸びを示した。
中国向けは9.2%増、日本向けも9.0%増と、いずれも堅調であった。
FDIに関しては、既存企業による再投資が活発化しており、同期間のFDI実行額は前年同期比8.8%増の154億ドル(約2兆3069億円)に達し、過去5年間で最高水準を記録した。
一方で、新規登録額は8.1%減となっており、新規投資家の慎重な姿勢がうかがえる。
今後の成長ペースについては鈍化が予想されている。
8月に発効した米国の新関税(20%)の影響に加え、年初からの輸出急増が一時的な駆け込み需要による可能性があるため、輸出の伸びには減速の兆しが見られる。
製造業の先行指標とされる購買担当者景気指数(PMI)は、8月に50まで低下しており、新規受注の伸びが頭打ちとなっている。
ADBは、財政および金融政策の緩和的運用が経済の安定に寄与すると見ており、2026年の成長率は6.0%、インフレ率は3.8%と予測している。
ADBベトナム国担当代表のシャンタヌ・チャクラボルティ氏は、マクロ経済の安定を図るためには財政と金融政策の協調が重要であり、過度な金融政策への依存は避けるべきであると述べた。
なお、年初からの信用拡大は18%に達し、政府目標の16%を上回っている。
短期的には金や株式などへの投機を助長するリスクがあるが、長期的には実体経済への資金循環が期待されている。
ADBは今後の持続的な経済成長に向けて、気候変動対応に関する法制度改革、民間部門の競争力強化、税制の近代化、デジタル化の推進といった分野での取り組みを提言している。
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