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相次ぐ都市部での店舗退去、電子商取引の台頭が背景に
<写真:plo.vn>
年末の購買需要が高まる時期にもかかわらず、ベトナムのハノイ市およびホーチミン市の中心部では、店舗物件の退去が相次いでいる。
賃料の下落が進むなかでも新たな借り手が現れず、商業地における空き物件の増加が顕著となっている。
ハノイのフォーフエ通りで婦人服店を経営していた店舗主は、月額5000万ドン(約30万円)の賃料を支払っていたが、年末を目前に契約を打ち切った。
年始からはオンライン販売に軸足を移すことで、店舗維持にかかるコストの削減を図るという。
現地の不動産仲介業者によれば、間口が広く立地に優れた一等地の物件であっても借り手が見つからない状況が続き、ファッションチェーンによる複数店舗の閉鎖も確認されている。
物件オーナーの中には、契約当初よりも20%近く賃料を引き下げるケースも見受けられる。
ホーチミン市においても同様の傾向が広がっており、ハイバーチュン通りやグエンチャイ通りといった繁華街では空き店舗の数が増加している。
飲食店やカフェの経営者の間では、採算が取れないことを理由に物件を返却する例が相次ぎ、代替として路地裏や商店街の低賃料物件への移転が加速している。
こうした動きの背景には、電子商取引市場の急成長がある。
ベトナム国内の大手ECプラットフォームにおいては、2025年1月から9月までの取引総額が前年比34%増の305兆9000億ドン(約1兆8048億円)に達しており、月平均で13億ドル(約202億2670万円)相当の取引が行われている。
ベトナム不動産仲介協会(VARS)の幹部は、特にファッションや飲食といった業種において、路面店舗からの撤退が顕著であると指摘する。
オンラインによる販売促進が主流となるなか、コストの高い好立地物件の必要性は薄れつつあるという。
加えて、サヴィルズ・ベトナムの幹部は、これまで重視されてきた「立地」から、「運営の柔軟性」や「顧客体験価値」へと重心が移っていると述べている。
一部の飲食チェーンでは出店数を抑制し、フラッグシップ店舗と配達用キッチンの機能を統合した物件へと戦略を転換している。
専門家らは、物件オーナーと借り手との間で賃料や契約条件に対する期待値の乖離が拡大しており、このギャップが長期的な空き物件の一因であると分析する。
今後は、柔軟な賃貸条件の提示や、オンラインとオフラインを融合させた営業モデルの導入が不可欠であると指摘されている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。