ベトナム伝統の楽器って何がある?? トロンやダンバウなど代表的な楽器や楽器店を紹介
ベトナムの伝統楽器というと、どんな楽器を思い浮かべますか?? 普段あまりベトナムの音楽を耳にする機会が少ないため、ベトナム在住の方も知っている人は少ないかもしれません。ベトナムには弦がひとつの琴である「ダンバウ」という楽器や竹琴のような「トルン」という楽器など様々な楽器があります。今回はベトナム在住のPOSTEスタッフがベトナムの伝統的な楽器や入手可能な楽器屋さんを紹介します。
弦楽器
弦楽器はベトナムの民族音楽では必ずと言っていいほど用いられています。ベトナムの弦楽器には世界的にも珍しい一弦タイプの琴「ダン・バウ(Dan Bau)」や全長が1mを超える巨大な琴「ダン・ダイ(Dan Day)」など独特な楽器があります。
ダン・バウ(Dan Bau)
「ダン・バウ(Dan Bau)」は誕生してから1000年以上の歴史があり、まさにベトナム伝統楽器の代表格といえます。世界的にも珍しい一弦タイプの琴です。弦を弾きながら、台箱の上に挿入された棒をしならせて糸の張りを調整することで演奏します。お土産用で折りたたみ式のダン・バウもあり、65万ドン(約3250円)程度で購入可能です。
「ダン・バウ(Dan Bau)」の音色
ダン・ダイ(Dan Day)
「ダン・ダイ(Dan Dai)」は四角い胴に長い柄が特徴の三弦楽器で、日本の三味線とよく似ています。ベトナムのダン・ダイも日本の三味線もルーツは明王朝時代に作られた中国のサンシェンという三味線であるため、似ている形をしていると言われています。ダン・ダイの大きさは1mを超え、音色は低音のしっとりとした音を奏でることができます。ダン・ダイは主にベトナムの伝統曲が演奏される際の伴奏として使われます。
「ダン・ダイ(Dan Day)」の音色
ダン・タム(Dan Tam)
「ダン・タム(Dan Tam)」は日本の三味線とルーツが一緒の楽器です。ただ、日本の三味線とは異なる点が見られます。まず、棹(さお)の長さや胴の大きさが小さいのが特徴です。また、ダンタムは胴の部分に蛇皮を使用しています。また、「ダンタム」はサイズが小さいため、三味線よりも落ち着いた音色を放つ楽器として知られています。
「ダン・タム(Dan Tam)」の音色
トルン(Torun)
「トルン(Torun)」は日本の竹琴のような民族楽器です。音が奏でられる部分だけでなく、枠組みまで全てが竹で出来ています。竹の裏側に切れ込みが入れられており、音がよく響くための工夫がされています。音色はコロコロと響き、木琴のシロホンのような音色を放ちます。また、演奏用として使われるトルンは人の背丈よりも大きいため、演奏者は立って演奏します。
「トルン(Torun)」の音色
気鳴楽器(きめいがっき)
気鳴楽器とは空気を発音体とする楽器の総称のことです。日本ではラッパや笛などの類が該当します。ベトナムの気鳴楽器は日本の笛と似たような構造のものが多くあります。
サオ(Sao)
「サオ(Sao)」は全長40〜50cmほどの1本の竹から作られた横笛です。5〜10個の指穴と息を吹き込む吹口があります。サオは独奏だけでなく、他の楽器と組み合わせて音楽劇や王室内で合奏に使われることもあります。
「サオ(Sao)」の音色
ケン(Ken)
「ケン(Ken)」は木製の笛の先端に鉄製のベルを付けた楽器です。吹口と指穴がそれぞれひとつずつ付いており、吐息量や指穴の調節によって音を調整します。ケンは力強く甲高い音色を出します。ベトナムの古都・フエの宮廷でも宮廷音楽としてケンが使用されており、現在ではベトナムのお葬式などでも用いられることがあります。
「ケン(Ken)」の音色
ビードイ(Bi Doi)
「ビードイ(Bi Doi)」は穴を開けた20cmほどの竹パイプを5〜10本ほど組み合わせて作られた楽器です。1本の竹に息を吐くと竹パイプ同士が共鳴し、音を奏でます。ビードイはベトナムの少数民族であるムオン族の男性が求愛の際に用いる楽器としても知られており、ムオン族の男性は意中の女性が暮らす家までの道中はビードイを演奏します。ムオン族の文化と密接に結びついた楽器といえますね。