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深夜のバーは即席オフィス、ハノイの若者に広がる新しい働き方
<写真:dantri.com.vn>
年末の繁忙期を迎え、ハノイ市では夜のバーを仕事場として活用する若者が増えている。
図書館やカフェではなく、電子音楽が鳴り響く空間でノートパソコンを開き、締め切りに向き合う「バー・ワーク」スタイルが、1つの潮流として定着しつつある。
ハノイ市内の大学4年生の女性は、夜9時になるとバーに足を運び、卒業論文の執筆に取り組む。
高速テンポの電子音楽を「集中力を高める特殊なホワイトノイズ」と捉え、静かすぎる環境よりも作業効率が高いと語る。
1回の滞在費は20万~100万ドン(約1200〜6000円)に及ぶが、費用より成果を重視する姿勢がうかがえる。
創作系フリーランスの若者の間でも、同様の動きが広がっている。
にぎやかなバーで発想を刺激し、落ち着いた隠れ家的なパブで執筆に集中するなど、目的に応じて場所を使い分ける例が多い。
友人と連れ立って訪れ、仕事と娯楽を融合させる点も特徴である。
SNS上では「バーで仕事」「締め切りをバーで」といった投稿が増加している。
ハウスやテクノ音楽を「集中用BGM」と銘打った動画も高い再生数を記録している。
こうした需要を背景に、ハノイ市内のバーでは音量を抑えたり、作業向けの長時間ミックス音源を用意したりと、来店者に配慮する動きがみられる。
実際、夜間にノートパソコンを持ち込む客は、例年の2~3倍に増加したという。
医療・心理分野の専門家は、一定のリズムを持つ電子音楽が注意散漫を抑え、集中力を高める効果を持つと指摘する。
一方で、刺激が過度になると作業効率が低下する「ヤーキーズ・ドットソンの法則」にも留意が必要であり、音量や照明、休憩の取り方に配慮すべきであると警鐘を鳴らす。
また、コロナ禍以降の柔軟な働き方が、若年層において職場と娯楽空間の境界を曖昧にしたとの見方もある。
他者と同じ空間で努力する感覚が孤独感を和らげ、動機づけを高める効果を持つとされる。
深夜0時、仕事を終えてパソコンを閉じる若者にとって、バーはもはや単なる遊興の場ではない。
多忙な時期を乗り切るための「臨時オフィス」として、新たな都市文化の一端を形づくっているのである。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。