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なぜベトナム人はこれほど大量にアルコールを消費するのか

2018年06月14日(木)00時00分 公開
なぜベトナム人はこれほど大量にアルコールを消費するのか

ベトナムでは、330mlの缶ビールがたったの0.5ドル(約55円)で販売されている。

 

<ハノイHang Chie通りの道端でビールを飲むベトナム人3人>

 

ビールの価格の低さ、飲酒年齢や販売時間の制限が設けられていないこと、過度な飲酒による悪影響を防止するための法律がないことの3つがビールやアルコール消費量の世界ランキングが急激に上昇した主な原因だ。

 

先週、ハノイで開催されたアルコール過剰飲酒防止に関する会議でWHOベトナムアドバイザーのNguyen Tuan Lam氏は「ベトナムは世界ビール消費量ランキングで2010年には94位だったが2016年は64位まで上昇している。この30位の上昇はベトナムの中間所得者層のビール消費が主な要因だ」と話していた。

 

WHOの専門家によると、ベトナムでは1人当たりのアルコールの消費量は年間で平均8.3リットルだという。このアルコール消費量はアジア諸国で3番目だ。

 

ベトナムでは牛乳よりビールの方が安い。

 

牛乳が170mlの牛乳は7000ドン(約35円)であるのに対し、缶ビールは330mlで1万1000ドン(約55円)だ。bia hoi (生ビール)の場合、さらに安い。

 

また、ベトナムではキャンディーのように簡単にビールを購入することができる。

 

多くの食品店の店長は「子供や少年にビールの売ることは普通の事だ。現在、ベトナムでは子供にビールを販売してはいけないという法律はない」と話す。

 

ホーチミン市Thu Duc区Kha Van Can通りにある飲料品店のNhungさんは「買い物に来る消費者の中には若い人もたくさん見られる。彼らは家族が飲む用のアルコール飲料を購入しに来ている。私は商品を購入したい人であれば誰にでも販売する。なぜ消費者の年齢を気にする必要があるのか」と話す。

 

Go Vap区Le Quang Dinh通りの飲料販売店でも同様の状況だ。飲料販売店のTan店長は消費者がアルコールの購入をしようとすれば年齢を気にすることなく販売するという。

 

Tanさんは「大人と一緒に店舗を訪れた子供が購入したビールを与えられているケースが何件かあった」と話す。

 

ホーチミン3区の都市警備隊のTran Viet Lam氏によると「アルコール売買が規制されていないことで都市管理局に圧力がかかっている。都市管理局は歩道を占領する施設を罰金に科すことしかできない。法的枠組みの欠如により、未成年の酒飲みなどの問題を処理できなくなっている」と話す。

 

現在の法律では、ビールは一般食品と同様の枠組みに分類されている。つまり、非アルコール商品と同じ食品安全規制の対象となる。

 

<ホーチミンのスーパーでビールを手に取る消費者の様子(Tuoi Treニュース)>

 

数人の専門家はベトナムはアルコールの購入に厳しい規制があり、ビールやアルコールの消費管理が上手くいっている国を見習うべきだと話している。

 

タイの場合、アルコール飲料の販売は毎日2回、既定の時間で販売が禁止されており、宗教的な休日や選挙の期間もアルコール飲料の販売が中止されている。

 

ベトナムでは過剰飲酒の影響防止を目的とした法令が10年間にわたり準備されている。

 

2019年にこの法令草案は国会に提出し承認される予定だ。この法令によってアルコール消費に関する問題が解決されることを期待している。

 

この法令は一定期間アルコールの販売を禁止するもので、アルコールを販売する施設制限し、子供に対してアルコールの販売を禁止する目的がある。

 

これらの提案は一般の人々によって受け入れられている。しかし、いくつかの調査結果によるとアルコール飲料メーカーから強い反対の声が挙がっているようだ。

 

飲料業界の内部関係者は、法令草案の実現可能性と実行可能性について懐疑的である。内部関係者は新しい規制によって観光開発に影響を及ぼす可能性があると述べている。

 

アルコール飲料メーカーはベトナムでのアルコールの販売や消費に規制が掛かる場合、損害を被る可能性がある自社の収入に関して懸念を抱いているようだ。

 

医療政策研究所のVu Thi Minh Hanh氏は「ビールの販売から得られる収益よりも過剰飲酒による有害な影響に注意を払うべきだ。世界のアルコール消費は安定しており、1人当たりの年間アルコール消費量が6.2リットルから約10年後には1人当たり6.4リットルに上昇したのみだ。これに対しベトナムは10年間で6.4リットルから8.3リットルに上昇した。過剰飲酒による有害な影響はアルコール飲料メーカーの収益をはるかに上回る」と話す。

 

ベトナムはアルコール飲料の有害な影響を防止し、制限するための法案が改正されるまでもう一年待たなければならない。そのため、昼夜問わず至るところで行われる飲み会がみられなくなる日まではまだ時間があるだろう。

 

出典:Tuoi Treニュース

 

 

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