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バインミーに食品安全の懸念、ストリートフードの課題
<写真:tuoitre.vn>
ベトナムの代表的なストリートフードであるバインミーが、食品安全の観点から注目を集めている。
バインミーは手軽で安価な朝食として都市部で広く販売されているが、最近発生した食中毒事件を受け、品質管理や衛生状態に対する懸念が高まっている。
ホーチミン市やハノイ市の主要道路には、朝早くから多くの移動式バインミー屋台が並ぶ。
ホーチミン市ビンタン区では、1つ1万2000〜1万5000ドン(約71〜89円)のバインミーが1日数十個から100個以上売れる。
しかし、これらの屋台は露天で営業しており、保管や調理の際に衛生基準を満たしていないケースが多い。
原材料の肉やパテなどは屋外に放置されることが一般的で、細菌繁殖の温床となり得る。
ある販売者は「多年にわたり問題は発生していない」と語るが、消費者や専門家からは不安の声が上がっている。
一方で、大型店舗でも問題は解消されていない。店内の衛生基準は比較的整っているが、具材が屋外に放置されるケースが散見され、改善の余地がある。
最近の食中毒事件で特に指摘されたのは、バインミーの中に挟まれる具材が主因であるという点である。
栄養学の専門家によれば、肉やパテなど高タンパク質食品は高温多湿の環境で保存されると細菌が急速に増殖し、わずか数十分で食中毒のリスクが高まる。
11月にバリア=ブンタウ省で発生した事件では、バインミーの具材からサルモネラ菌が検出され、370人以上が食中毒に陥り、1人が死亡する事態となった。
店舗の原材料供給元に問題があったとされ、現在当局が調査を進めている。
食品安全の確保に成功している他国の事例がベトナムにとって重要な参考となる。シンガポールでは「ホーカーセンター」と呼ばれるフードコート形式で営業を集約し、環境庁によって衛生状態をランク付けされて公表される。
タイは特定区域に屋台を集め、衛生管理の教育と定期的な検査を実施し、日本は祭りやイベントに限り、屋台営業を許可する形で厳しい管理を行っている。
また、食中毒発生時には営業停止や罰金、場合によっては刑罰を科すことで抑止力を持たせている。
食品安全の専門家は「バインミーのようなストリートフードの安全性向上には、原材料の供給チェーン全体を通じた管理が必要不可欠である」と指摘する。
また、販売者の倫理観や顧客の意識改革も重要であるとされる。
ベトナム政府は既に原材料供給業者への監査を強化しているが、小規模事業者や屋台の取り締まりには限界がある。さらなる法整備や教育の推進が求められている。
安価で手軽なストリートフード文化を守りながら、食品安全基準をどのように向上させるか、ベトナムは新たな課題に直面している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。