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ベトナムのココナッツ産業、原料不足の危機に直面
<写真:thanhnien.vn>
ベトナムのココナッツ加工産業が深刻な原料不足に直面しており、主要生産地であるベンチェ省では多くの加工工場が稼働しているが、原料供給が追いつかずに操業率の低下が問題となっている。
この危機的状況について、13日にベンチェ省で開催された「ココナッツ製品の生産と消費の連携フォーラム」において、ベトナムココナッツ協会のグエン・ティ・キム・タン会長が警鐘を鳴らした。
タン会長によれば、過去にココナッツの国内価格が1個1000ドン(約6円)まで下落した時期があり、この低価格が農家の栽培意欲を損ない、ココナッツ栽培を敬遠する動きにつながったという。
一方、加工工場では原料不足により、生産能力の10〜15%でしか操業できない企業も存在する。
このような状況が続く中、原料の多くが国内での加工を経ずに他国へ輸出されていることが問題視されている。
特に、中国向けの輸出が大半を占めており、その背景には乾燥ココナッツ原料の輸出税がゼロである政策がある。この政策は原料輸出を促進する一方で、国内加工業への悪影響を招いている。
さらに、2025年1月1日からは、世界最大級の乾燥ココナッツ原料供給国であるインドネシアが輸出税を80%に引き上げる方針を発表しており、ベトナムの原料輸入に新たな課題が浮上している。
タン会長は「税制の見直しや国内原料保護のための政策が欠かせない。このままではベトナムのココナッツ産業は競争力を失い、長期的に衰退する危機に直面する」と述べた。
また、気候変動や農家の転作も原料不足に拍車をかけており、南部の主要ココナッツ生産地では、持続可能な栽培を促進するための支援が求められている。
ベンチェ省のココナッツ加工会社「フーンナム」のグエン・ヴァン・フオン社長は「栽培支援や品質向上策が講じられなければ、供給不足の解消は困難である」と警告し、企業間の連携を通じた持続可能なバリューチェーンの構築が急務であると訴えた。
物流の改善も重要な課題となっている。メガAロジスティクスのダン・ディン・ロン会長によると、輸送コスト削減や効率的な物流システムの整備がココナッツ輸出競争力の向上に寄与する。
冷蔵設備や品質保持のためのインフラ整備が進められており、中国市場や遠方の輸出先への進出も拡大しているという。
現在、輸出用ココナッツの輸送コストは1個当たり約3000ドン(約18円)に抑えられているが、産地コードや包装施設の改善を通じて輸出プロセスの迅速化を図る取り組みが進行中である。
一方、ロン会長によると、各輸出市場の技術基準や税制に応じた製品戦略の構築も必要である。
このような状況を受け、専門家や業界団体は政府に対し、輸出税制の見直しや国内原料保護のための政策転換を求めている。
持続可能なココナッツ産業の発展には、農家への支援を強化するとともに、国内加工業の競争力を高める取り組みが不可欠である。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。