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ベトナムの個人所得税率35%、ASEAN地域で最も高水準

<写真:vietnamnet.vn>
ベトナム財務省が提出した個人所得税法改正案において、最高税率35%の維持が盛り込まれた。
この水準はタイやフィリピンと同等であり、シンガポール(24%)やマレーシア・ミャンマー(30%)と比較しても高く、東南アジア諸国の中でも相対的に高い税負担とされている。
今回の改正案では、現行の7段階の累進課税制度が5段階に簡素化される一方で、最高税率35%は据え置かれる。
この税率は課税所得月額が1億ドン(約60万円)を超える層に適用されるものである。
財務省は、扶養控除や医療・教育費控除の拡充と併せて施行することにより、実質的な税負担は軽減されるとの見解を示している。
しかし、DeloitteベトナムやKPMGベトナムをはじめとする専門家からは、この税率が依然として高すぎるとの指摘が相次いでいる。
特に、GDP平均の10倍の所得水準から35%の税率が課される現行制度については、タイ(20倍)やインドネシア(62倍)に比べて、最高税率が早期に適用されることが問題視されている。
KPMGの分析によれば、ベトナムの高所得層は他国に比べ、より早い段階で重い税負担を強いられており、これは国際的な競争力の低下や、優秀な人材の誘致・定着への障害となり得る。
同社は、最高税率の引き下げと課税所得基準の引き上げを提案している。
また、地元メディアが実施した調査では、回答者の73%が最高税率として20~25%が妥当と考えており、35%の維持を支持する声はわずか5%にとどまった。
これにより、国民の多くが現行制度に対して負担感を抱いている実態が浮き彫りとなった。
ホーチミン市税理士協会やベトナム自動車工業会などからも、最高税率の見直しや税率構造の簡素化を求める声が上がっており、特に4段階制(5%、10%、20%、30%)への再編案が提案されている。
この見直しにより、税制の透明性と国際競争力の強化が期待されている。
税制は優秀な人材の確保にとどまらず、外国企業による投資判断にも大きな影響を与える要素である。
適正な税負担と政策の一貫性の確保は、今後のベトナム経済の持続的な成長にとって、極めて重要な鍵を握っている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。