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高齢者歯科医療の課題、8020運動導入の必要性

<写真:1thegioi.v>
ベトナムにおいては、高齢者の早期における歯牙喪失が深刻な問題となっている。
65歳以上のベトナム人の平均的な残存歯数は10〜12本程度にとどまり、日本が推進する「80歳で20本の歯を保つ」ことを目標とした「8020運動」とは大きな隔たりがある。
2019年に実施された全国調査によれば、歯科を定期的に受診している国民はわずか15%に過ぎず、85〜90%が中等度以上の歯周病を抱えている。
この歯周病は歯の早期喪失の主要因であると同時に、高齢者に多く見られる慢性疾患との関連性も指摘されている。
特にホーチミン市では、すべての歯を失っている高齢者の割合が8.2%に達し、20本以上の歯を保持している高齢者は42%にとどまる。
ホーチミン市中央口腔顔面病院の医師によれば、高齢化の進行に伴い、高齢者に対する歯科治療の需要は年々増加している。
同院では、1日あたり約50人の高齢患者を受け入れており、月に30〜50件の全歯喪失症例を扱っている。
近年ではデジタル技術を活用した総義歯の導入により、通院回数が2〜3回にまで短縮され、遠方からの通院も容易になりつつある。
高齢者における歯の喪失は、単なる加齢によるものではなく、若年期からの口腔ケアの不足が蓄積された結果とされる。
歯周病や虫歯は、食生活の質の低下を引き起こすだけではなく、心血管疾患、糖尿病、免疫機能の低下など、全身の健康にも影響を及ぼすことが明らかとなっている。
現時点でベトナムには、高齢者の口腔健康に特化した国家戦略が存在せず、定期的なスクリーニング、予防歯科体制の確立、人材の育成、保険制度の整備といった面での対応が大きく遅れている。
保健省は「2030年までに高齢者の機能的残存歯20本以上の割合を60%に引き上げる」との目標を掲げているが、現状を踏まえるとその実現は容易ではない。
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