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深刻化する中年男性の鬱、背景には「有害な男らしさ」
<写真:vietnamnet.vn>
ベトナムでは中年男性を中心にうつ病や不安障害が深刻化しており、その背景として「有害な男らしさ」が専門家の間で問題視されている。
経済的失敗や家庭内での役割意識を1人で抱え込み、精神的限界に追い込まれる事例が相次いでいるという。
ホーチミン市内の病院によると、ある45歳の男性は失業と株式投資の失敗を家族に隠し続けた末、自殺未遂に及んだ。
外見上は通勤を装い、生活費はクレジットカードの借り入れで賄っていたが、不眠や強い不安、負債への強迫観念が重なり、心身ともに著しく疲弊していた。
同様の傾向は他の医療機関でも確認されている。
ハノイ市内の病院では、38歳の男性が動悸や息切れを訴えて受診したが、背景には自身の会社の経営不振と借入金増加に対する強い不安があった。
本人は「家計を支える立場」であることを理由に妻へ悩みを打ち明けず、慢性的な緊張状態が続いた結果、パニック症状を引き起こしていた。
専門家は幼少期から刷り込まれる「男は弱音を吐かない」「泣くのは恥」といった価値観が感情の抑圧を正当化し、その結果として精神疾患を悪化させると指摘する。
世界保健機関(WHO)によれば、世界の自殺者数は年間約85万人に上り、主因はうつ病である。
女性の方が診断率は高い一方で、男性の自殺成功率が高いという「自殺のジェンダー・パラドックス」も、こうした沈黙の文化と無関係ではないとされる。
ベトナム国内では、人口の約15%が何らかの精神障害を抱え、うつ病や不安障害は5〜6%に達すると推計されている。
しかし、男性が専門家に相談することへの心理的抵抗は依然として強い。
医師は感情の抑圧が長期化すれば、重度のうつ病や自殺リスクの増大だけではなく、身体疾患や労働能力の低下を招く悪循環に陥ると警鐘を鳴らしている。
対策として専門家は「強さ」を感情の否定ではなく、感情を言語化し他者と共有する能力として再定義する必要があると提言する。
小さな会話からでも信頼できる相手に状況や感情を伝えること、そして家族側も評価や助言を急がず、受容的に耳を傾ける姿勢を持つことが、男性の孤立を防ぐ重要な鍵であるとされている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。