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ベトナム経済における関税の影響、想定より軽微とHSBCが分析
<写真:thuonghieuvaphapluat.vn>
英国系銀行HSBCは、米中貿易摩擦などによる関税の影響に関する分析を発表し、ベトナム経済への打撃は当初の懸念よりも小さかったと結論づけた。
ただし、今後の貿易環境には依然として不確実性が残ると警告している。
HSBCの報告によれば、2025年のベトナムの輸出は関税の影響を受けずに堅調に推移しており、とりわけ第2四半期には「前倒し出荷」が輸出の伸びを後押しした。
ベトナム税関総局の統計によると、同年11月末までの輸出総額は前年比16.1%増の4300億ドル(約62兆2425億円)に達し、そのうち対米輸出は約1386億ドル(約20兆624億円)と27%以上の大幅な伸びを記録した。
この輸出拡大の背景には、電子機器関連の比率が近年著しく上昇している点がある。
従来は繊維製品、履物、玩具などの軽工業品が輸出の主力を担っていたが、現在ではコンピューター、スマートフォン、電子部品といった高付加価値製品が中心となっている。
2025年には、米国向けの電子製品輸出が500億ドル(約7兆2375億円)近くに達したとされる。
また、ベトナム政府はトランプ前政権下で実施された報復関税措置に対して早期に外交交渉を行い、ASEAN諸国と同等の19〜20%の関税率へと調整されたことにより、影響の最小化に成功したとの見方が示されている。
こうした状況を背景に、HSBCやUOBなどの金融機関は2025年のベトナムのGDP成長率を上方修正しており、政府が掲げる8%以上の成長目標の達成も現実味を帯びてきている。
一方、2026年の輸出見通しについては慎重な見方も根強い。
11月の製造業購買担当者指数(PMI)は53.8となり、拡大基調を示してはいるものの、HSBCは「来年の貿易リスクは予測が困難」と述べ、特に40%の中継税や半導体分野における業界別関税が新たな不確定要素となる可能性を指摘している。
経済協力開発機構(OECD)は、2026年の世界貿易成長率が前年の4.2%から2.3%へと鈍化するとの見通しを示しており、これに伴いベトナムの経済成長率も6.2%にとどまると予測している。
OECDおよびHSBCは、対米輸出が全体の約3割を占める現状をリスク要因として捉えており、ベトナムが今後、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)や包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)などを活用した市場の多角化を一層進めていく必要があると提言している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。