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ホーチミン中心部の路面店賃料、年末に大幅下落進む
<写真:hangthat.thuonghieucongluan.com.vn>
ベトナム南部最大都市ホーチミン市の中心部において、路面店(タウンハウス型店舗)の賃料を大幅に引き下げる動きが年末にかけて広がっている。
商況低迷が長期化するなか、既存テナントの退去を防ぐ目的で、従来比4~5割の賃料引き下げに踏み切る事例が相次いでいる。
中心部のボーバンタン通りでは、約80㎡のアパレル店舗が3年間の賃貸契約満了をもって退去した。
家主側は今後半年間の賃料を約半分に引き下げる条件を提示したが、来店客数の減少によって収支が合わず、営業継続を断念したという。
賃料引き下げは固定費の一部軽減にはなるものの、売上減少を補うには不十分であるとの判断であった。
家主側の譲歩は他のエリアでも目立つ。ホアンサー通りの路面店では、月額8000万ドン(約47万2000円)であった賃料が4000万ドン(約23万6000円)まで引き下げられた。
新型コロナウイルス流行以前は空室がほぼ見られなかったが、感染拡大後は運営コストに耐えきれず撤退する借り手が増加したという。
3月2日通りでも、飲食店向け物件の賃料が約半額にまで調整されている。
こうした賃料下落の動きは中心部にとどまらない。
レーバンシー通りやカックマンタンタム通りなどの準中心地においても、従来比3~5割の値下げが一般化しつつある。
仲介関係者によれば、かつて月6000万~1億5000万ドン(約35万4000〜88万5000円)で貸し出されていた中心部の物件は、現在では4000万~9000万ドン(約23万6000〜53万1000円)程度が相場となりつつある。
不動産情報サイトを運営するBatdongsanによると、ホーチミン市の路面店賃貸需要は直近四半期も前期比で減少し、過去3年間で2~3割縮小した。
Nhà Tốtも、2024年の賃貸需要が前年同期比で2割以上減少したと指摘している。
表面上の募集賃料は小幅な下落にとどまる一方、実際の成約では大幅な値引きが常態化している状況である。
南部不動産市場に詳しい専門家は、路面店の利回りが現在1.7~2.1%と過去最低水準に落ち込んでいると指摘する。
特に中心部では物件価格の高止まりに対して賃貸需要が弱く、賃料調整圧力が強まっている。
外資系不動産大手CBRE Vietnamの小売部門責任者は、消費者の購買行動がオンラインや複合商業施設へ移行するなかで、従来型の路面店モデルは構造的な転換点にあると分析する。
高水準で維持されてきた賃料は実態に合わなくなっており、市場は需給に見合った水準へと再調整されているとの見方を示す。
専門家の間では、今回の賃料下落は一時的な景気後退にとどまらず、都市小売の構造変化を反映した「自然淘汰」の過程であると受け止められている。
今後は立地条件や運営効率、コスト競争力を備えた物件のみが生き残る局面に入るとの見方が強まっている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。