ベトナムでは日本脳炎に要注意|予防法や対処法をファミリーメディカルプラクティスが解説

ベトナムでは日本脳炎に要注意|予防法や対処法をファミリーメディカルプラクティスが解説

ベトナムでは1952年に初めて日本脳炎発症の事例が報告されました。

ベトナム全土で感染の可能性がありますが、米、果物、野菜の栽培、養豚が盛んな北部の農村部で特に感染率は高くなっています。

過去には、年間2000~3000件発症した脳炎の内、60%以上が日本脳炎だったという報告があります。 近年では、日本脳炎ウィルスによる脳炎は10~15%に留まっていると報告されています。

脳炎の発症率は、北部で66%、中央部で12%、高地部で18%となっており、その内15%が日本脳炎とされています。2017年1月から2018年10月現在まで、ベトナムの31県で325件の日本脳炎のケースが報告されており、その内の5人が死亡しました。

今回はベトナムで気を付けるべき感染症の一つである日本脳炎の予防法やかかってしまった際に対処法をファミリーメディカル・プラクティスが解説します。

 

※情報提供:Family Medical Practice

 

 

日本脳炎

 

日本脳炎は、神経系の障害を引き起こす脳炎です。アジアや太平洋西部の郊外で多く見られ、蚊の媒介によって日本脳炎ウィルスに感染することで、発症します。

感染後、後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ることもあります。 日本脳炎はウィルスを持つイエカ蚊に刺されることで、人間に感染します。農村部で発生しやすい、季節性の感染症です。

亜熱帯地域では、夏から秋(3月~10月)にかけて感染しやすくなり、特に6月〜9月がピークとなります。

豚や水鳥にも感染しますが、人から人へは感染しません。

日本脳炎が多く見られる地域では、0~14歳の子供の10万人中5人、5歳以上では10万人中0.6人の割合で発症しています。

発展途上国では、日本脳炎による死亡率は35%以上と高く、毎年約1万人の死亡ケースが、全世界で報告されています。  

 

症状

日本脳炎の症状は様々で、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛などが見られます。これらの症状の後、意識障害や発作、麻痺、過呼吸、その他の脳神経症状があらわれます。

 

対処法

日本脳炎には有効な抗ウィルス剤がなく、頭蓋内圧のコントロールや呼吸困難の回避、痙攣のコントロールなど、症状緩和の対処法が取られます。

 

予防方法

第一の感染予防方法は、蚊に刺されないことです。蚊は、特に夕方から夜間にかけて、活発に活動します。

蚊が多い地域に住んでいる、または行く予定がある場合は、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を抑えましょう。

野外に外出の際はディート成分配合の蚊除け剤の使用をしましょう。就寝の際には蚊帳の使用をおすすめします。

また、蚊が繁殖しやすい環境を作らないことで、リスクを下げることが出来ます。防虫剤を散布したり、ボウフラを食べてくれる魚を水田などに放し飼いにしたり、水田の水を定期的に交換したりするなどの対策が挙げることができます。

 

日本脳炎ワクチンの予防接種を受けることにより、危篤症状を予防することも可能です。日本脳炎ワクチンの予防接種は、各国で異なります。

日本やベトナムにおいては、1歳を過ぎてから、1~2週間の間隔で2回、そしてその1年後に1回の計3回の皮下注射を行います。 その後、15歳頃まで、3~4年に1回、追加接種を行います。

ただし、ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市では、Imojev (生ワクチン)を使用しており、接種方法が異なります。

これから日本脳炎ワクチンを接種される方、途中まで接種されている方は当院医師にご相談ください。

成人は、過去にワクチン接種をしていない場合は、小人のスケジュール同様、3回の接種が必要となります。過去に接種をしている場合は、追加接種のみ必要となります。

日本脳炎のワクチンの明確な有効期間は、はっきりしていません。

17歳以上で、感染のリスクが高い地域への滞在予定があり、最後の接種が1年以上前の場合、追加接種が必要となります。ワクチンにも様々種類があるので、過去の予防接種歴などを医師に相談しましょう。

 

 

まとめ

 

日本脳炎は大変危険な感染症のため、ベトナムへ渡航する際は必ずワクチンを受けることをおすすめします。ベトナムでこれから日本脳炎ワクチンを接種される方、途中まで接種されている方は当院医師にご相談ください。また、お子様の予防接種状況に不安がある方もお気軽に小児科専門医にご相談ください。

 

 

著者紹介

 

吉松昌司 医師 ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市 小児科

 

小児科医として、18年の経験を持つ。フィリピン、カンボジア、ガーナにて 小児結核や感染症のプロジェクトにも携わってきた。日本では、発達障害を持ち不登校などに悩む子供達のサポートもしてきた。2018年6月からファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市に勤務。 ベトナムにおいても、邦人・外国人ファミリーが安心して生活できるようにサポートをしていく。

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