ミシュラン掲載店のオーナーシェフ|「NOBU」の高橋氏が熟成肉に掛ける想い

ミシュラン掲載店のオーナーシェフ|「NOBU」の高橋氏が熟成肉に掛ける想い

2023年5月にベトナム・ハノイに飛騨牛1頭買い・和牛の熟成焼肉店「NOBU」が開店した。

 

同店を監修するのは、ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版にも取り上げられた名店「焼肉 旬やさい ファンボギ」のオーナーシェフである高橋 樗至(のぶゆき)氏。

 

「ファンボギ」には日本全国から肉愛好家が岐阜県まで足を運び、高橋氏が手間隙掛けて育て上げた飛騨牛を中心とした様々な熟成肉に舌鼓を打つ。

 

開店して10年以上を経ても進化を続ける「ファンボギ」、2023年に初の海外店として誕生した「NOBU」の高橋氏とはどの様な人物なのか、肉と熟成に掛ける想いとは…

『熟成師』高橋 樗至

 

高橋氏は岐阜市で最も老舗の焼肉店「名玉」の孫として生まれ、幼い頃からずっと祖母の仕事を側で見て「この肉は何日経ったから食べ頃」という話をよく聞いていたという。

 

その頃から肉の旨さと熟成の関係に興味を持ち、小学生の時には「料理人になりたい」という想いを胸に、暇さえあれば台所に立っていた。

 

中学卒業直後から父親の隣で厨房に立ち、肉の知識や商売についての修行が始まった。

 

11年ほど修行した後に「別の道も見てみたい」と実家を飛び出し、世界の肉と肉料理の研究のために世界中を巡り、帰国後には精肉店で骨抜き・解体・成形を学び始める。

 

 

その後、父親の入院や店の移転を機に兄と一緒に「名玉」で再スタートを切り、2人が切り盛りする「名玉」は岐阜屈指の焼肉店として名を馳せていったという。

 

「伝統を守る」という兄に対して「焼肉を更に進化させたい」という想いが強かった高橋氏は、2010年に独立して「焼肉 旬やさい ファンボギ」を開店した。

 

「すべては旨い肉のために」と究極の熟成を求めて終わりなき挑戦を続け、ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版に掲載されるまでに至った。

 

2023年5月には生まれ育った岐阜を愛する高橋氏は飛騨牛を世界レベルに押し上げるべく、最大限まで肉の旨味を引き出した熟成和牛を提供する「NOBU」をベトナム・ハノイで開店した。

素材へのこだわり・生かす熟成

 

肉用牛の世界には血統を組み立て仔牛を育成する繁殖家、牛を最上の肉質へと育て上げる肥育家、買い付けを行い飲食店に卸す精肉店、最終出口となる飲食店という流れがある。

 

高橋氏は「人間が誰一人として同じではないように、牛もただ1頭として同じ牛はいない。一期一会で縁によって出会った牛を如何に最高に仕上げるかが勝負」と、日々変化する肉の表情に向き合い続け、包丁の角度や柵取り、厚さ等の「捌きの工程」と「熟成」に注力する。

 

ミシュランガイド掲載の「ファンボギ」やハノイの「NOBU」では、肉の旨味と熟成を徹底的に研究した独自技術によって、こだわり抜いた素材を丁寧に「本当に旨い肉、一度食べたら忘れられない味」に仕上げる。

 

「ファンボギ」流の熟成は「ドライエイジング(湿度70〜85%)」と「ドライエイジング(湿度30〜45%)」、「ウェットエイジング(呼吸しないゆっくりした熟成)」の3種類で、それぞれの方法を素材や部位によって使い分け、時には組み合わせて熟成を行う。

 

 

また、火入れ加減や肉の切り分け方ひとつでも味が変わってしまうため、高橋氏は「30日熟成であればこの切り方、90日であればこの焼き方」と素材に真剣に向き合うことを大切にしている。

 

「熟成師は料理人ではなく職人で、丹誠込めて育てられた牛や豚を良い素材に仕上げるのが私の仕事」として、更に美味しく食べて頂けるように個々の熟成肉に合った様々な調理法を常に学び続けているという。

 

2014年には肉に掛ける強い想いが「雪中熟成」という、雪で作ったかまくらの中に数百kgもの飛騨牛の枝肉を丸々吊るす熟成方法を試みるまでに至った。

 

高橋氏は「いただいた命を生かす最高の肉を作りたくて、僕は今日も肉を見つめ肉の声を聞いています」と今この瞬間も肉への情熱を燃やし続けている。

 

店舗情報

ベトナム・ハノイ

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