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今注目のホラー映画『Co Hau Gai』を監督が語る
今、ベトナムの映画産業全体で映画の質が大きく向上しており、素晴らしい筋書きを生み出す監督がぐんぐんと実力をつけている。ベトナム映画は新たなステージに突入している。
CJ Entertainmentによってリリースされる映画はとても人気だが、最近公開されたCo Hau Gaiのような歴史ベースの物語は、ストーリーそのものに「重要な深み」を持っている。
Co Hau Gaiを監督したライター兼ディレクターのDerek Nguyen氏は、「様々な出来事が絡み合っている筋書きこそCo Hau Gaiという映画を支えている。」と、述べた。
ベトナムとアメリカのハーフの彼は、自身の家族の過去をテーマに今回の映画を手掛けたという。
「この映画は、私の祖母の過去にまつわるものです。彼女から聞いた話をベースにしたいと感じたのがきっかけです。私の祖母は、フランス植民地時代にメイドとして働いていました。この映画の時代設定は1953年です。フランスインドシナ戦争の末期、つまりディエンビエンフーの戦いの前の頃に焦点を当てました。スクリプト自体はフィクションですが、母国の歴史に刻まれた動乱の時代を描こうと思い、祖母から聞いた話と戦時の様子を自然な形で織り交ぜることに集中しました。」と、語った。
家族の過去とは別に、DerekはCo Hau Gaiが描かれた歴史的な背景にも注目した。Tran Tu Binh 著『The Red Earth: A Vietnamese Memoir of life on a Colonial Rubber plantation』 という本は、今作の世界観を描き出すために必要不可欠だったという。
「この著書は、Phu Riengのプランテーション農園で強制労働に就かされた17606人の壮絶な労働環境を描いた物語です。契約労働者たちはひどい環境の下、監督者にムチ打ちにさらされ、拷問に喘ぎ、多くが命を落としていきました。当然、脱走を試みた者も、少なくありません。しかし、捕まれば、首つり処刑や強姦、投獄はまぬかれませんでした。」と、続けた。
このような恐ろしい仕打ちの描写に加え、この映画のプロットは文学史の要素も取り入れられている。Derekによると、この映画には、フランス人が犯した残酷な事実が物語られる一方で、二人の主人公の奥深い愛の物語を描き出しているという。ドラキュラ(Dracula) やフランケンシュタイン(Frankenstein)に代表されるような「死とロマンスが絡み合う物語」に、Co Hau Gaiは強く影響されているのだ。
「The Housemaid(Co Hau Gaiの英訳)を、ベトナムのゴッシク映画にしたかった。」と、Derek。収録期間中、制作チームはある難題に直面していた。限られた予算内で、当時のリアルな風景を呼び起こさなければならなかったのだ。Co Hau Gaiの舞台である不気味なSa-Cat荘園地を表現するために、崩れた古い屋敷の中で撮影に臨む一方、屋敷内の装飾品の描写は完全に別の場所で撮影された。さらに、フランス植民地時代の世界観をより忠実に再現するために、撮影場所は多岐にわたったという。Da Latの湖、Loc Ninhの工場、Tien Giangのマンション、Buu Longの屋敷、Long Khanhのゴムの林などだ。
当時の時代をにおわせるシーンを描写することは、さらに困難を極めたという。例えば家具の質感だが、Derekはデザイナーにあえてこすった傷痕をつけさせて、植民地時代の雰囲気を出させた。「映画の中では気が付かないような部分かもしれませんが、なにせ予算が限られていますから、工夫していかないといけなかったんです。だから、デザイナーのJose (Joji) Pamintuanは映画のセットを作り上げる上で、大変貴重でクリエイティヴな存在だった。」
「彼は、映画の時代設定にあった家具を探すために、限られた予算にも関わらず、ベトナム中を訪ね歩いてくれた。それでも、ピッタリのものが見つからないときは、傷をつけるなどして当時の雰囲気を起こした。昔の写真を参考にしながら、スタッフが家具を昔風に手掛けてくれたのです。私は本当に、素晴らしい人材に恵まれたと感じています。」と、仲間の健闘を称えた。
ローケーションやセットを工夫する一方、植民地時代の人々の振る舞いや小さな所作までこだわった。当時の屋敷内で働いていた人々の振る舞いを指導し、演者に対して西洋式の所作を心がけさせた。「映画内で描かれるSa-Cat荘園の屋敷は、当時のフランスの領地と似た一面を持つので、ベトナム出身の演者に当時のフランス社会の所作を学んでもらった。時代が違えば、当然人々の振る舞いも変わってくるので。」
上映時間を調節するためにいくつかのシーンを省いたが、この映画が歴史的な要素を慎重につなぎとめているのは事実だ。この時代の名残が、今もベトナムに影響を与えていると、Derekは感じているようだ。
「祖母はオバケの話が大好きでした。彼女は、木々に人々の魂が取り憑いていると信じていました。その話を聞いて私はひらめきました。ゴムの木の林を舞台に繰り広げられる歴史的な恋物語をホラーと組み合わせるというプロットをね。」
「ありのままの真実と恐怖を素直に伝えたかったのです。それが、ゴムプランテーションの惨い事実をホラーに仕立て上げた理由です。労働者の生活は過酷そのものだったでしょうし、今でもその魂が旧プランテーションゴム園の木々に宿っているように思えてならないのです。」
Derekの手掛けた渾身の一作、いかがでしたでしょうか。
雨が続く昨今、映画館でベトナムホラー映画を鑑賞してみてはいかがだろうか・・・?
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