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グラブが運賃値上げ、タクシーと値段変わらないとの声も
<写真:Grab BikeのドライバーとGrab Car>
12月5日に付加価値税(VAT)が引き上げられたことに対応して、ライドシェア・配車アプリ大手のグラブ(Grab)が運賃の値上げを断行した。
それに伴い、同社と契約するドライバーのストライキなども発生し、グラブは政府だけでなくドライバーからの圧力にも直面している。
12月5日に施行された政令第126号/2020/ND-CPでは、配車アプリ運営企業の契約ドライバーに対するVATの税率が3%から10%へと大幅に引き上げられた。
グラブはこれを受け、運賃の値上げをしない場合、ドライバーの所得が約7%減少するとの試算を発表していた。
税率の引き上げ分を利用者に転嫁する形で、運賃の値上げを決定した。
具体的に、ハノイやホーチミン、バクニン、ビンズオン、ドンナイ、カントーにおける4人乗りのグラブカー(Grab Car)の運賃については、初乗り2kmが2000ドン値上げの2万7000ドンとなった。また、ダナンやハイフォン、クアンニンでは初乗り2kmが3000ドン値上げの2万5000ドンとなった。
初乗り2km以降、1kmあたり500〜1000ドン値上げの9500ドンとなる。
グラブバイク(Grab Bike)については、初乗り2km以降の運賃が1kmあたり3400ドンから4000ドンに値上げとなった。
グラブによると、運賃の値上げは12月5日付加価値税(VAT)に対応したもので、同社と契約するドライバーの所得を確保するためだという。
一方で、ドライバーのアプリ利用手数料はこれまでから変更していないとした。
アプリ利用手数料は変わっていないものの、グラブカーのドライバーに対する控除率は28.375%から32.841%に引き上げられたという。
そのうち、アプリ利用手数料が25%で他がVATと個人所得税だ。
また、グラブバイクのドライバーに対しては控除率が25%から27.272%に引き上げられた。そのうち20%がアプリ利用手数料、他がVATと個人所得税。
その結果、グラブバイクのドライバーら数百人がハノイにあるグラブ 社のオフィスの前で抗議を行う事態に陥った。
今回の付加価値税の引き上げに伴うグラブの運賃の値上げはグラブ社、利用者、ドライバーの3者にとって良いものではなく、各方面から不満の声が上がっている。
利用者からは普通のタクシーとさほど値段が変わらず、ピーク時にはタクシーより値段が高いとの声もあがっている。
また、ドライバーからは引き上げ分の納税義務がドライバー側にくるのではないかという懸念が出ているが、税務当局は地元メディアに対してドライバーに引き上げ分のVATの納税義務はないと語ったという。
9日に税務当局と話し合いを行った後、グラブ社は今回の結果に対して失望しており、新しい税制の実行について両者は合意に至っていないと声明を発表した。
また、グラブ社はベトナムの法律を遵守しており、すべての利害関係者の権利と利益を確保するため、関係当局との協議を進めているとした。
グラブはベトナムの配車サービスを独占しており、情報通信技術関連の市場を専門とする調査会社であるABIリサーチの調査によると、グラブのマーケットシェアは75%にものぼる。
契約するドライバーの数はグラブカーとグラブバイクを合わせて19万人にものぼる。
しかし、グラブの運営するサービスをめぐっては、タクシー協会からの反発や政府からの圧力が後を絶たない。
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