IMF:インフレ圧力の高まりを懸念、ベトナムに警告

2022年04月25日(月)11時15分 公開
IMF:インフレ圧力の高まりを懸念、ベトナムに警告

〈写真:VnExpress〉

 

ベトナム経済は回復しつつあるが、国際通貨基金(IMF)は、インフレと金融リスクも高まっている可能性があると警告している。

 

最近行われたベトナム政府高官との協議で、IMFアジア太平洋局のエラ・ダブラ・ノリス局長は、ウクライナでの紛争がベトナムの回復ペースとインフレに中程度の影響を与える可能性があると指摘した。

 

IMFは、ベトナムのインフレ率が年末までに3.9%に達し、ベトナムの管理目標に近づき、GDPは2022年に6%、2023年に7.2%成長すると予想している。

 

同局長は、目先の見通しは重大なリスクをはらんでいるとし、多くの要因が成長率の鈍化やインフレの上昇を引き起こす可能性があると指摘した。

 

当面のリスクとしては、地政学的緊張の高まりと中国の成長鈍化が挙げられる。また、世界的な金融情勢の引き締めや、不動産・社債市場の動向もリスクとなる。

 

スタンダードチャータード銀行もまた、商品供給と地政学的緊張を理由に、ベトナムでのインフレ圧力の上昇を警告している。同行は、消費者物価指数が2022年に4%を超え、2023年には5.5%にも達するとみている。

 

 

ダブラ・ノリス局長によると、ベトナム経済の成長とインフレ抑制を両立させるためには、政策立案を迅速に行い、政策支援パッケージの規模や構造を経済回復のペースに応じて柔軟に調整する必要がある。

 

特に成長減速のリスクが顕在化した場合、財政政策が重要な役割を果たす。インフレリスクが続く限り、さらなる金融緩和の余地は限られている。

 

今後、財政政策は、一方で一時的な支援を行い、他方で経済移行を促進するというバランスを取る必要がある。2022年には、全体の財政赤字は緩やかに増加する見込みである。

 

金融政策については、IMFはベトナムにインフレ圧力の上昇に注意するよう助言している。持続的なインフレ圧力が出現した場合、ベトナム国家銀行は金融政策を引き締め、その決定に至った要因を明確に伝えることで、インフレ抑制に役立てるべきである。

 

IMFはまた、今後の信用拡大政策は、景気回復の促進と金融安定性の確保との間で合理的なバランスをとるべきであると考えている。


同局長によると、IMFは為替レートの柔軟性を高め、金融政策の枠組みを近代化するためのベトナムの措置を高く評価している。

 

また、中期的に成長を持続的に支えるためには、銀行部門の弾力性を強化することが重要である。回復が強まるにつれ、ベトナムは債務の分類と引当金に関する規制の緩和をやめるべきである。

 

債務グループを変更せずに債務再編を認める規制は、不良資産の認識を遅らせ、悪化させる可能性があるため、2022年6月の期限を越えて延長すべきではない。


IMFによれば、新たなリスクに対処し、より強靭な銀行システムを構築するために、金融セクターの規制と監督を強化する必要があるとしている。「マクロ・プルーデンスの枠組み」が金融の安定性を確保するのに役立つと考えられている。不良債権処理を促進するために、制度や破産の枠組みを強化すべきであるとIMFは助言している。

 

同局長によると、ベトナムはビジネス環境と労働の質の改善だけでなく、より抜本的な構造改革が必要である。また、所得や富の不平等への影響を考慮した政策が必要であるとし、不平等の拡大は国際的に成長を低下させることが確認されているとした。

 

同国は、新興国の規範に近づくために、ガバナンスを強化し、データのギャップを埋める努力をする必要がある。

 

ベトナム国家銀行は、今年のインフレ率を4%以下とすることを目標としている。昨年のベトナム経済の成長率は2.6%で、パンデミック前のトレンドである7%を大きく下回った。

 

 

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