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正規の仕事を辞め、インフォーマル・セクターに移行する人が増加
〈写真:VnExpress〉
給与やストレスを理由に正規の仕事を辞め、自由に働くことができるインフォーマル・セクターに移行する人が増加している。
ハノイ市のHさん(43)は、今年初めに工場労働者の仕事をやめて配達員になったことについて「後悔はしていない。給料が安く、常にプレッシャーにさらされる以前の仕事には戻りたくない」と話す。
月に800万〜900万ドン(約4万5400〜5万1000円)の収入があり、好きなときに働けるので、賢い職業選択だと考えている。
パンデミック前は月収800万〜1000万ドン(約4万5400〜5万6700円)だったが、勤務先の電気工場は中国の厳しい新型コロナウイルス規制で材料や部品の入手が難しくなり、生産量が減少したため、収入もそれに引きずられるように減少した。
月収500万ドン(約2万8400円)では、物価の高い首都ハノイ市で生活することはできない。
パンデミック以来、Hさんのように低賃金や昇進の機会がないことを理由に正規雇用の仕事を辞め、現在は完全に非正規雇用に頼って生活する人々が増加している。
統計総局(GSO)のデータによると、2016年〜2019年にかけて、正規労働者の数は年平均5.6%増加したのに対し、非正規労働者はわずか3.6%しか増えていない。
2020年以降の新型コロナウイルスの影響による経済的な落ち込みの中で、多くの労働者が失職や減給を経験した。彼らの多くは故郷に戻るか、大都市で生き残るために非正規雇用を余儀なくされ、その結果、2020年末には非正規労働者は2030万人に達し、前年から11万9100人増加した。
GSOの最新レポートによると、今年第1四半期末には2140万人にまで増加し、その傾向は衰える気配がない。
社会保険やその他の保障がないにもかかわらず、正規社員よりもストレスが少なく収入を得ることができるとして、何百万人もの人々が自営業や非正規雇用に就いている。
Hさんは、長年働いても給料が上がらないが、退職後に年金を受け取るために社会保険料を支払い続けないといけないため、退職を決意したという。
社会保険加入者は、20年間保険料を払い続けて初めて年金を受け取ることができるようになる。
今年1〜3月の間に社会保険制度から脱退し、積み立てた金額を一時的に引き出すことを選択した人は20万9000人近くで、1年前より1%増加した。
脱退者は退職後、わずかな年金しか受け取れず、無料の医療も受けられなくなる。
一時引き出しを選択した人の大半(97%)は、国家機関に勤めていない26〜29歳の若者が主である。また、男性(44.4パーセント)よりも女性(55.6パーセント)の方が、脱退を選択する人が多かった。
ハノイ社会科学人文大学とドイツのユストゥス・リービッヒ大学ギーセン校が2021年に発表した報告書「高齢化社会としてのベトナム」によると、定年退職者1340万人のうち64%が現在年金を受給していない。
60〜64歳の約46%、70〜79歳の約30%、80歳以上の約10%は、依然として生活のために働かなければならない状況である。
また、テクノロジーの進歩により、大都市では配達やネット販売などのインフォーマルセクターで働き、複数の仕事を掛け持ちして高収入を得ることも可能になっている。
ホーチミン市在住のTさんもHさんと同様に、同市で電気技師の仕事を辞め、配達ドライバーになった。
月給700万ドン(3万9700円)で、8年間勤務して何度も表彰されたにもかかわらず、ボーナスはわずかで、最低賃金が上がったことは一度もなかったという。
Tさんは、昇進や成長の機会がないと判断し、昨年末に退職した。
その後、フードデリバリーや小さな衣料品店を経営する妻の手伝いをし、空いた時間に商品配達を行っている。
自分の自由な時間が増え、収入も以前より増加したため、社会保険への加入は必要ないと考えている。
また、大都市を離れた工場労働者の中には、田舎の方が住みやすいと知り戻るつもりがない人もいる。
Mさん(53)は、昨年10月に妻と娘を連れて北部のイエンバイ省に戻り、ストレスのない牧歌的な生活を楽しんでいる。
「都会のドロドロした生活にはもう飽きたよ」と語る。
家賃などの出費の心配もなく、家族の所有する土地で野菜作りや家畜の飼育で日々を過ごしている。
1月のGSOの報告によると、今回のパンデミックにより大都市を離れて故郷に戻った労働者は約220万人に上る。
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