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インフレに円安、困窮する在日ベトナム人労働者の生活
〈写真:Vietnam net〉
物価上昇の影響を受けて、多くの在日ベトナム人が支出を引き締め、家族への仕送りを減らしている。
静岡市に住むヴー・タイさん(22)は、もう4カ月半にわたって仕送りをしておらず、彼の両親はとても焦り、困難な状況に陥っているという。
長い間貯めたお金で日本に出稼ぎに来たタイさんは、現在は仕送りでハイズオン省の農村に住む5人家族の家計を支える。
タイさんは毎月の給与の一部を日本での生活費に充て、残りはベトナムへ仕送りする。しかし、日本の物価が上がり続けているため、彼の貯蓄は減っていく一方である。
また、円の価値が下がり続けているため、タイさんは家族への仕送りを躊躇するようになった。
「家族からは仕送りを催促されているが、かなり躊躇している。物価の上昇で貯蓄額は減り、円の価値は下がっている。ベトナムの通貨に換算すると損をするので、しばらく貯金をしてから実家に送金しようと考えている」と語る。
三重県に住むグエン・ティ・タイン・フエンさんは、「ここ数カ月で品物の値段が急激に上がった。野菜は1つ50円、乾物は2倍、鮭も1キロあたり200〜300円の値上げになった」とため息を漏らす。
彼女は毎月、お店で1ヶ月分の食料を購入するが、以前は2万円であったのが値上がりにより2万7000円の支出が必要となったという。
また、フエンさんによると、食料の値段が急激に上がっただけでなく、他の生活費も高くなっており、毎月の電気、水道、ガス代が1.2倍程度になっているという。
「全てが値上がりしているが、給料は変わらないのでとても苦労している」と話す。
しかし、タイさんによると、在日ベトナム人労働者コミュニティにとって、「最大の恐怖」はインフレではなく、失業だという。
日本に来て間もない在日ベトナム人の多くが、不安定な仕事、安い給与、高い物価によって生活が比較的厳しい状況に陥っている。
多くの在日ベトナム人が、家族への仕送りに影響が出ないように、支出を抑える工夫をしており、この「物価の嵐」が早く過ぎ去り、生活が以前と同じように安定することを期待する。
フエンさんも同様に、家族に仕送りをするための貯蓄も少なくなり、為替レートも下がり続けていることに不安を感じている。
以前は10万円あれば約2000万ドンの仕送りができたが、今は約1700万ドンにしかならない。従来と同様の生活・働き方では、1400万ドン〜1500万ドンしか送金できない。
日本に出稼ぎに出るベトナム人労働者の多くは、ブローカーに多額のお金を支払っており、最短で回収できるよう常にお金を貯めようとする。しかし、ここ数ヶ月のインフレ状況は、彼らに多くの困難をもたらしている。
ブローカーは通常、約6500ドル(約87万8000円)の手数料を徴収する。通常であれば約1年で返済できるが、今は約1年4カ月以上かかる。
物価が上昇する中、フエンさんは支出を抑える方法を見つけ、買い物の習慣を変えなければならなかった。安いスーパーに行くために、自転車に乗り1時間の距離を移動するという。
しかし、急増する物価に頭を悩ませているのは、在日ベトナム人労働者だけでなく、日本人も同様である。
フエンさんは、「ベトナム人よりも日本人の方がインフレに苦しんでいる様に見える。日本人も親や子供の面倒を見なければならない。日本人の女性はほとんど家にいて、夫だけが働きに出ているから大変だ」と話す。
彼女は、「日本に行く前には慎重になってください」と日本に行きたいというベトナム人の若者へメッセージを残した。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。