おすすめのプロモーション
ベトナム・トランスジェンダー法、今年中の草案提出に向け調整進む
<写真:VnExpress>
ベトナムでトランスジェンダー法の草案に関する会議が開催され、今年中の国会常任委員会への草案提出に向けてトランスジェンダーの権利や法整備に関しての議論が行われた。
現時点の草案では「トランスジェンダーであることが認められれば、性別に応じた結婚の権利や法に基づくその他の権利を得ることができる。また、トランスジェンダーとして認められるために医療介入を受ける必要はなく、医療介入は完全に任意である」とされている。
保健省のデータによると、ベトナムには約48万人以上のトランスジェンダーがいるとされている。トランスジェンダーは社会から差別や偏見、偏向を受けることが多く、トランスジェンダーの3人に1人は過去12ヶ月以内にそうした問題に直面したという。
同省の調査では、トランスジェンダーの回答者のうち40%が「自殺を図ったことがある」「差別を恐れて医療情報やサービスを受けることができない」と回答し、18%が「HIVか梅毒に感染している」、4%が「HIVの検査を受けたことがない」、42%が「うつ病のリスクが高い」と答えている。
国会社会問題委員会のグエン・ティ・キム・トゥイ副代表によると、ベトナムはLGBTコミュニティに対する差別をなくすために多くの前進を遂げている。
2015年の法改正では性別を変更する権利も認められた。
しかし、「具体的に誰が性別を変更することが許されるのか」「どの医療機関で変更することが認められるのか」「性別変更のプロセスや関連する手続きが不明確」といった問題が残っている。
トランスジェンダーが社会や教育、医療サービスなどを容易に利用できるように法的環境の整備が必要である。
現状、ベトナムで性転換をするためには特定の病院で診断を受け、卵巣のある男性などといった特定の生物学的特徴を持つことを確認しなければならない。そして、医師から性別を選択するためのカウンセリングを受け、性転換のための手術を受ける。
性転換手術に成功して医師の確認が取れれば、書類に記載されている個人情報を変更する手続きを行うことが可能となる。
こうした手続きの複雑さからベトナムのトランスジェンダーの多くは性転換のためにタイなどの他国を訪れる。しかし、他国で手術を受けて性別や外見が変わっても、ベトナムで個人情報を変更することは認められていない。
世界ではすでに多くの国でトランスジェンダーの法律が導入されている。
ベトナムのU.N.Womenのルオン・ワイン氏によると、パキスタンでは法的な性別を認識するための要件としてのメディカルチェックを却下しており、ノルウェーでは性別を認識するための神経学的診断と心理学的診断の両方を却下している。
トランスジェンダー法の草案は今年中の国会常任委員会提出を目標として、引き続き調整が行われている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。