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認可から12年、ホーチミン市メトロ2号線の現状

2022年10月18日(火)15時11分 公開
認可から12年、ホーチミン市メトロ2号線の現状

<写真:VN Express>

 

2010年に認可されたホーチミン市のメトロ2号線は用地買収で行き詰まっており、2030年への期限再延期を求めている。

 

メトロ2号線の建設予定地に住んでいたフー・ベトさん(53)は、2年前にタンビン区カックマンタン(Cach Mang Thang)通りにある自宅の半分以上を手放した。

 

ベトさんによると補償金は市場価格の70%に当たる50億ドン(約3055万円)に過ぎなかったが、当局の説得とメトロの利点を理解して整地計画に同意した。

 

ベトさん一家だけではなく近隣住民は同様に、近い将来のメトロ開通によってビジネス活動が活発化し、移動の利便性が高まることを望んでいた。

 

しかし、ホーチミン市が完成期限を2030年に延期する許可を出し、ベトさんは大きな動揺を抱えている。

 

ホーチミン市のメトロ2号線は12年前に13億ドル(約1935億3750万円)の費用で承認され、当初の計画では2016年に完成することになっていたが、その後に2026年へと変更された。

 

ベトさん家族はメトロ2号線建設の影響を受ける603世帯のうちの1つであり、現在までに約500世帯が土地の引き渡しを完了している。

 

中には他の場所に引っ越した人もいるが、大半の住人が残った土地に建てられた「超薄型」の家に住むことを受け入れている。

 

建設の影響を受けた家族は自分たちの居住地を失っただけではなく、商売をしたり貸したりするための敷地がなくなり、大きな収入源を失うことになった。

 

メトロ2号線の建設には1区、3区、10区、12区、タンビン区、タンフー区の6区を通る25万1000平方メートル以上の整地が必要となる。

 

同路線の用地買収計画は2010年に承認されたが、ホーチミン市が影響を受ける家族の補償や移転処理を行うチームを結成したのは2015年10月であった。

 

しかし、チーム結成からわずか1年後に移転計画の調整が行われ、補償作業は中断された。

 

2019年にはメトロの完成期限が2026年に延期されることが承認された。同市は用地整理の進捗を早め始めたが、3区での補償の不一致という別の問題が発生した。

 

3区はホーチミン市の中心部に位置するため、補償金や移転費用が他と異なり、都市鉄道管理局(MAUR)は同区の地価係数を同市人民委員会が承認するまで必要以上に待たされることになった。

 

地価係数の承認後には、同地区の対象用地の所有者が補償金に難色を示し、交渉が長引いた。

 

MAURは現在までに584世帯に対する補償手続きを完了し、そのうち499世帯からの土地引き渡しが完了したことを明らかにしている。

 

当局が1月に行った発表によると、補償金の総額は4兆3500億ドン(約265億6840万円)以上だと推定される。

 

今年6月にはメトロ2号線建設に関する新しいコンサルタントを見つける必要があるとして、建設の着工が今年から2025年へと正式に延期された。

 

前コンサルタントはドイツ企業3社とスイス・ベトナム企業のコンソーシアムであったが、契約更新内容に関して合意に至らなかったため、3月にMAURとの独立コンサルタント(IC)契約を終了した。

 

同コンソーシアムは4400万ユーロ(約64億5767万円)の報酬でエンジニアリング、設計、監督サービスを提供することになっていた。この報酬はドイツ復興金融公庫(KfW)が提供する返還義務のない助成金から出されている。

 

また、同コンソーシアムは2012年1月に作業を開始したが、最初のIC契約に含まれていないサービスパッケージの料金をめぐって紛争が発生し、2018年10月に作業を停止した。

 

その後、MAURはIC契約の再開に失敗しているが、具体的な理由は明らかにされていない。

 

同コンソーシアムは昨年、2012年に合意した当初の金額よりも約29%増となる1260万ユーロ(約18億4884万円)を要求し、交渉は決裂している。

 

昨年3月にホーチミン市はMAURがICの契約更新に間に合わず、工事を進められなかったことを厳しく批判した。

 

MAURが新しいコンサルタントを見つけるには12〜18ヶ月かかり、投資家が建設業者の入札を行えるのは2024年となる。工事は2025年に着工して2030年の完成が予定されている。

 

また、メトロ2号線の費用は当初13億ドル(約1935億3750万円)であったが、資材や建設費の高騰によって2019年末には21億ドル(約3125億9340万円)まで膨れ上がった。

 

ドイツ復興金融公庫(KfW)とアジア開発銀行(ADB)、欧州投資銀行(EIB)から同プロジェクトの資金を借りるための契約5つは全て失効してしまっており、ホーチミン市はKfWとADBとの契約延長を要請している。

 

ベトナム・ドイツ大学傘下の交通運輸研究開発センターのブー・アイン・トゥアン所長は、進捗の遅れは地元住民の日常生活に影響するだけでなく、ホーチミン市の威信と海外からの融資を受ける際の機会にも影響を及ぼすと指摘する。

 

同氏はプロジェクトの遅延が度重なれば、敷地整理や労働者への支払い、建築資材の購入などの価格が右肩上がりになり、コストが高くなることも指摘している。

 

また、メトロ2号線の進捗遅延は都心と北西部を結ぶ交通網を整備する基本計画にも影響を及ぼしている。

 

ホーチミン市の前副建築長ヴォー・キム・クオン氏によると、公共交通機関のプロジェクトが遅延することは、規律が緩いホーチミン市の長年の問題であった。

 

そのため、ホーチミン市は現在、各組織や個人に具体的な責任を負わせ、プロジェクトが遅延した場合には制裁を科すことまで要求している。

 

ホーチミン市のメトロ・プロジェクトについては、2号線だけが遅延状況にある訳ではなく、10年前に着工したメトロ1号線は2018年の完成を目指していたが、延期を重ねた結果、2023年末に稼働する見込みとなっている。

 

 

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※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。


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