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横行する外国人観光客への迷惑行為・詐欺、観光復興の足枷に
<写真:VnExpress>
国際観光再開後のベトナムは外国人観光客の誘致に力を入れているが、国内では依然として迷惑行為や詐欺が横行しており、ベトナム観光の評判を落とす大きな要因となっている。
ホーチミン市を訪れたインド人観光客のアントニオさんは、友人とサイゴン中央郵便局付近を歩いていた際に露天商からぼったくりを受け、非常にがっかりしたという。
アントニオさんは露天商の男性からココナッツを飲みたいかと聞かれ、価格を尋ねると「無料だ」と言われた。
もう一度価格を尋ねてみたが、「いや、無料だ」という返答であった。
その後、露天商はアントニオさんへココナッツが積まれた押し車の横に立って写真を撮るよう促した。
最終的に露天商はココナッツ代として30万ドン(約1684円)を請求したが、為替レートが分からなかったアントニオさんは「親切な人だ」と思い、言われたままの金額を支払った。
アントニオさんが宿泊先のホテルで為替レートを調べると、母国ではココナッツが30個も購入できる金額であったことが判明し、ぼったくり被害に気が付いたという。
ベトナムで同様のぼったくり被害や迷惑行為に遭った外国人観光客は非常に多い。
先週には日本人観光客家族が、ノイバイ国際空港国際線と国内線のターミナル間移動1kmで100万ドン(約5620円)を請求されている。
ベトナムでは1km以内のタクシー移動は2万4000ドン(約135円)程度である。
1日にはタイ人観光客2人がサパのレストランで、食事代を実際の3倍である92万5000ドン(約5200円)で請求をされた。
ハノイ市を訪れた外国人観光客のエリサさんもお店や市場などで過剰請求された体験談を持つ。
ソクソン(Soc Son)郡からハノイ市までの31kmをグラブで移動した際に、定価は35万ドン(約1968円)であったが、運転手からは50万ドン(約2812円)の支払いを要求された。
過剰請求されたことを報告するためにホットラインへ電話をかけたが、英語が通じずに泣き寝入りするしかなかったという。
観光業界は外国人観光客から迷惑行為や不正行為に関する意見や苦情を受け付ける複数のホットラインを開設しているが、大半の外国人観光客はこれらのホットラインが適切に機能していないとして不満を漏らす。
ベトナムは昨年3月15日に国境を再開し、東南アジア諸国の中でもいち早く観光を全面的に再開したが、昨年の外国人観光客数は目標の70%程度である370万人に止まっており、観光復興は近隣諸国に大きく遅れをとっている。
業界関係者によると、こうした外国人観光客をターゲットとした詐欺の蔓延は、法執行の弱さと少ない罰金に原因がある。
ベトナムでは観光客を騙した者へ最高で1000万ドン(約5万6210円)の罰金が科される。
1日にタイ人観光客へ過剰請求を行ったサパのレストランは750万ドン(約4万2160円)の罰金を科されたが、罰金額が100万ドン(約5620円)〜500万ドン(約2万8100円)以下のケースも多いという。
元米国特派員であり、ベトナムツアーの案内をしていたカール・ロビンソン氏によると、こうした詐欺や嫌がらせ行為の横行が外国人観光客へ非常に悪い印象を与えており、ベトナム旅行のリピート率の低さに繋がっている。
メコンデルタの観光専門家であるファン・ディン・フエ氏は、タイに倣って観光地や繁華街に観光警察を配置し、不正行為を未然に防止するような取り締まりの必要性を指摘する。
また、政府は観光客を騙す者に厳しい罰金を科し、観光客からの苦情を受けるために、現在のような複数のホットラインではなく、1つのホットラインを開設することを検討するべきである。
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