おすすめのプロモーション
困窮するベトナム人労働者の生活、10万ドンで1週間を生き抜く
<写真:Tuoi Tre>
8月上旬、ホーチミン市ビンタン区タンタオ街区の賃貸住宅街として知られる第5通り58番地の路地は、異例の静寂に包まれていた。
多数の労働者が解雇され、借家から退去せざるを得なくなったことが原因である。
現在も同賃貸住宅街に滞在する労働者たちの瞳には、不安が強く映し出されている。近年、ベトナム人労働者の労働時間は減少し、残業による収入の増加の機会も失われてしまった。
メコンデルタ地方ドンタップ省出身のグエン・ティ・タオさん(35)は、労働者としてのキャリアを17年過ごしてきたが、現在の低賃金はこれまでの経験の中で最低となっている。
新型コロナウイルスの大流行を境に、タオさんの勤務先であるビンタン区のナイキとアディダスの靴のサプライヤーPouyuen社での残業機会は劇的に減少した。
金曜日と土曜日は休業日とされ、給与も削減された。タオさんは未来が不確かであるため、8歳の子供の学費などの支出に大変な心配を感じている。
労働者だけではなく、商人や宝くじの販売者も収入が減少しており、困難な状況に置かれているという。
タオさんの隣人であるチャン・ヴァン・ホアさん(55)もまた、厳しい生活環境を経験している。
ホアさんが勤務していたPouyuen社の工房は5月20日に閉鎖され、多くの労働者が職を失った。幸いにもホアさんは別の工房で仕事を継続しているが、労働日は週4日と短縮されてしまった。
全体的に仕事量が減少しており、同じ職場の妻も同様の問題を抱えているという。
ホアさん夫妻は北中部タインホア省からホーチミン市に移住し、Pouyuen社で15年以上働いてきた。夫妻は3人の子供の教育のために給与を使っているが、現在は未来の不確実性に悩まされている。
ホーチミン市7区在住のトゥイ・リンさん(26)は厳しい経済状況の中、家計を支えるために日々奮闘する。
リンさんはソクチャン省出身で、現在は同区のタントゥアン輸出加工区にある企業で輸出用の扇風機を製造している。
今年に入って、リンさんの夫は仕事を失って何度も求人に応募したが、受け入れられなかった。一度仕事を得た際も支払いが延期されるという理由で2ヶ月後に辞職せざるを得なかったという。
そのため、現在の家計はリンさんの収入のみで成り立っており、生活費や故郷への仕送りといった全ての経済的な負担をリンさんが背負っている。
日曜出勤を含む臨時勤務をこなせば月1100万ドン(約6万7200円)の収入を得ることが可能であるが、そうでない場合は基本給550万ドン(約3万3600円)と数百ドンの手当を受け取るだけである。
家賃を支払った後、1ヶ月の生活費をすべて賄う金銭は100万ドン(約6100円)しかない。
残った収入は故郷で子供の面倒を見る母親に送られる。リンさんは週に10万ドン(約610円)しか使えないという。
そのため、リンさんは節約のために肉や魚の消費を減らしており、米1kgを1万1000ドン(約67円)で購入し、米がない場合はインスタントラーメンを食べている。
また、外出時には水の購入を避け、小さな袋にお茶を入れて持参するという。
リンさんは更なる収入を得るためにオンラインでの商品販売を試みたが、競争が激しい市場で生き残ることができなかった。
現在、リンさんは仕事を持っていることに感謝をしながら現在の会社での勤務を続け、追加の収入源としてカレンダーを作る工房でのアルバイトを予定している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。