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ベトナムの伝統的な加工業、安価な中国製品の圧力で衰退
<写真:tuoitre.vn>
ベトナム国内の小規模製造業や手工業集積地、特に縫製や靴製造を手掛ける地域が、安価な輸入品、特に中国製品の台頭によって存続の危機に瀕している。
これらの商品はオンライン販売を通じて急速に市場を席巻しており、地元業者にとって大きな脅威となっている。
ホーチミン市タンビン区の加工業者であるダン氏は「中国で購入した素材を使用して試作を行ったが、顧客が求める低価格には到底及ばなかった」と語る。
中国製スポーツシューズや布製靴は1足10万〜30万ドン(約610〜1830円)で販売される一方、地元での製造コストはそれを大きく上回る。こうした価格差により、中国製品はベトナム製品よりも30〜35%安価で提供されている。
原材料や機械設備の多くを中国からの輸入に依存していることも、地元業者が価格競争に敗れる要因の1つである。加工業者の多くは採算が取れず、事業を閉鎖するケースが増えている。
かつてホーチミン市内で手工業が活発であった4区のトンダン通り周辺では、加工業者の廃業が相次いでいる。同地区では最盛期に30〜40世帯が靴製造を行っていたが、現在では数えるほどしか残っていない。
靴製造業者のリン氏は「オンライン・オフラインを問わず、中国製品が市場を席巻しており、伝統的な手工業はもはや太刀打ちできない」と語る。
地元業者は中国と同様の低価格戦略を模索しているが、素材の調達コストや生産規模で大きな差がある。中国は原材料を自国内で調達できるうえ、自動化された生産ラインを活用して大量生産を行っており、これが低コストを実現している。
一方、ベトナムでは原材料を輸入に頼り、小規模生産が主流であるため、競争が難しいとされる。
ホーチミン市皮革靴業協会のグエン・ヴァン・カイン副会長は「中国企業は大規模な生産と頻繁なデザイン更新を行っており、これが市場競争力の要因である」と指摘する。
また、ベトナム国内で新たなデザインを生み出すには多額の投資が必要であり、商品が売れなければ損失が大きくなるリスクもある。
安価な中国製品の影響はファッション業界だけではなく、木工や家具製造分野にも及ぶ。ビンズン省の木工業協会によると、ベトナム国内で使用される木工機械の80〜85%が中国製であるという。
同等の欧州製機械に比べ、価格は半分以下で、特に中小企業が中国製を選ぶ傾向が強い。
地元業者の中には、中国製品の品質や税制に疑問を投げかける声もある。一部の業者は伝統的な技術を守りつつ、迅速なオーダーメイドや付加価値の高い製品で市場に挑戦している。
しかし、価格競争が激化する中で、公平な市場競争環境の整備が求められている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。