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ベトナム戦争時の虐殺、韓国政府に賠償命令
<写真:baohaiduong.vn>
ソウル高等裁判所は1月17日、韓国政府に対してベトナム戦争中に発生したクアンナム省フォンニィ・フォンニャット村虐殺事件の被害者であるグエン・ティ・タイン氏に3000万ウォン(約323万1000円)の賠償金を支払うように命じた地裁判決を維持した。
韓国政府がベトナム戦争における虐殺について賠償責任を認められるのは今回が初めてである。
1968年2月12日、韓国海兵隊第2旅団の兵士がクアンナム省ディエンアン村(現在のディエンバン市)で住民74人を殺害した。
タイン氏は当時8歳で、この虐殺により母親と2人の姉妹を失い、自身も左腰を銃撃され重傷を負った。2020年、タイン氏は韓国政府を相手取り訴訟を提起し、虐殺に対する責任を追及した。
2023年2月、ソウル中央地裁は韓国政府に3000万ウォン(約323万1000円)の賠償を命じる判決を下した。
しかし、韓国国防省は3月に「戦争の特殊性による正当な行為」として責任を否定して控訴したほか、「虐殺の事実が十分に証明されていない」と主張していた。
これに対し、高裁判決ではこれらの主張を退け、原告の訴えを全面的に認めた形となった。
タイン氏は判決後、他の被害者にも目を向けるように呼びかけるとともに、この判決が「歴史的な一歩」であると述べた。
韓国政府はこれまでベトナム戦争中の虐殺への公式な謝罪や賠償を行っておらず、この判決は韓国の歴史認識に対する新たな転機となる可能性がある。
ベトナム外務省は2023年3月、韓国政府の控訴に対し、「歴史を正しく認識し、事実を尊重すべきである」との立場を表明していた。
韓国軍はベトナム戦争中、ビンディン省やクアンガイ省など中部の多くの地域で住民を虐殺したとされており、歴史学者のク・スジョン博士によれば、これにより少なくとも9000人が死亡したという。
タイン氏は2015年に韓国の平和博物館の招待でソウルを訪れ、自身の体験を語る機会があった。
その際、ベトナム戦争に従軍した元韓国軍の僧侶がタイン氏の前で土下座して謝罪する場面もあったが、一方で元兵士の一部からは「虚偽の主張である」との批判も見られた。
今回の判決は韓国国内で国家の責任を問う声を高める一方、戦争を巡る記憶や認識の分断も浮き彫りにしている。
今後、韓国政府がこの判決を受け入れるか否か、また他の被害者に対する対応がどう進むのかが注目される。
ベトナム政府は「過去を乗り越え未来志向の関係を構築する」との立場を示しつつも、歴史の真実を明らかにする重要性を強調している。
今回の判決は両国が歴史的事実を認識し和解を進める契機となる可能性を秘めている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。