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笑気ガス乱用が深刻化、神経損傷や麻痺のリスクに注意

<写真:conganthanhhoa.gov.vn>
ベトナムで笑気ガス(N₂O)の乱用による健康被害が深刻化しており、ホーチミン市の175軍医病院では、過去1カ月で関連する神経障害の患者が3人入院した。
特に30歳未満の若年層に被害が広がっており、専門家が深刻な健康リスクへの警戒を呼びかけている。
2月10日、同病院のホアン・ティエン・チョン・ギア医師は、21歳の男性患者が四肢の麻痺や重度の脳損傷により入院したことを明らかにした。
患者は笑気ガスの販売店に勤務し、1カ月に約1000個のガス入り風船を吸入していたという。
入院時には強いしびれと運動機能障害を訴え、自力歩行が困難な状態であった。過去にも1~2回入院しているが「害があると分かっているが、仕事の関係でやめられなかった」と話している。
同病院では同様の症状を訴える若年層の入院が相次いでおり、24歳の男性患者は3カ月間にわたり連日笑気ガスを吸引し続けた結果、MRI検査で脊髄損傷が確認された。
血液検査でも異常が見つかり、医師は「神経系への影響が進行している可能性がある」と指摘する。
また、21歳の女性患者は言語障害や広範な脳損傷を発症し、危険な状態で病院に搬送された。
女性患者は笑気ガスに加え他の刺激物も併用しており、使用頻度が増すにつれ依存症の兆候が顕著になっていたという。
ギア医師によると、3人の患者はいずれも治療には反応しているが、将来的に神経障害や永久的な麻痺が残る可能性がある。
ギア医師は「一度依存すると抜け出すことが難しく、再発のリスクも高い」と警鐘を鳴らしている。
笑気ガス(N₂O)は本来医療現場で鎮痛・麻酔目的で使用される無色・微甘味の気体である。
しかし、ベトナムでは一時的な高揚感を得るための娯楽目的で乱用されるケースが増えており、健康被害が拡大している。
この状況を受け、ベトナム政府は2025年から笑気ガスの販売・使用を禁止する方針を発表している。
ギア医師によると、具体的な笑気ガスの影響にはビタミンB12欠乏症、脊髄損傷、末梢神経障害、精神疾患、心血管系疾患などが挙げられる。
医療関係者によると、多くの若者が笑気ガスを娯楽やストレス解消のために使用しており、依存症を自覚しないまま乱用を続けている。
また、高学歴の若者でも危険性を軽視し、軽い気持ちで使用を始めるケースが目立つ。
笑気ガスは依存性が強く、使用量が次第に増える傾向がある。医師らはこれが麻薬と同様の中毒性を持ち、乱用が進めば脳や神経系への不可逆的なダメージを引き起こすと警告している。
ベトナム政府の規制強化に伴い、医療機関や教育機関による若年層への啓発活動が求められている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。