おすすめのプロモーション
低額輸入品の免税措置撤廃、ベトナム企業の競争力向上へ

<写真:baomoi.com>
ベトナム政府は2月18日から100万ドン(約5929円)以下の輸入品に対する付加価値税(VAT)および輸入関税の免税措置を撤廃した。
この変更によりオンライン販売業者は価格戦略の見直しを迫られる一方で、国内生産企業には公正な競争環境が整うことが期待されている。
従来、低額輸入品は免税の対象であったため、電子商取引(EC)業者は海外から安価な商品を大量に仕入れ、小口配送によって税負担を回避することが可能であった。
この仕組みは特に中国製の低価格商品を扱う業者に有利に働き、国内中小企業にとって大きな競争圧力となっていた。
新たな税制の導入により、これまで低価格で販売されていた輸入品の価格が上昇する見込みであり、多くのオンラインショップが価格調整を余儀なくされている。
オンラインアパレル販売を手掛けるドンナイ省のタイン氏は「中国製の安価な衣料品との競争が厳しく、2億ドン(約118万5800円)以上を投資した在庫が売れ残っている」と苦境を語る。
この影響はファッション業界にとどまらず、家庭用品、アクセサリー、文房具、化粧品などの分野にも広がっている。
TikTokインフルエンサーであるゴー氏は、自身のアパレルブランド「Lenoir Studios」を閉鎖することを発表した。
ゴー氏は「事業継続のための時間確保が不可能」と説明しているが、一部の消費者からは「価格が高すぎる」との声が上がっており、競争の激化が背景にあるとみられる。
EC市場分析プラットフォーム「Metric」によると、2024年には国内EC市場から16万5000店以上のオンラインショップが撤退した。
一方、Shopeeでは3万1500店の海外販売者が年間14兆2000億ドン(約837億4268万円)の売上を記録しており、中国製品の市場浸透が顕著となっている。
経済専門家のディン・チョン・ティン准教授は「輸入品への課税は国内企業が生産活動を見直し、コスト最適化を進める契機となる。結果として競争力の向上を期待することが可能である」と指摘する。
グエン・フー・フアン准教授も「この政策は輸入品と国内製品の公平性を確保し、税収の損失を防ぐ狙いがある」と述べている。
しかし、中国は世界最大の製造拠点であり、大量生産によるコスト削減が可能なため、ベトナム企業が価格競争で対抗するのは容易ではない。
エロスカブランドを共同創設したブイ・ドゥク・ティエン氏によれば、税制改正は国内産業を保護するために必要な措置である。
従来の免税制度はEC業者が不正に利用し、大量輸入後に小分けして税回避を行う手段となっていたという。
ティエン氏は「この新政策によって公正な競争環境が整い、国内産業の持続的な発展が促進される」と期待を示した。
欧州諸国はすでに越境EC取引に対する課税を強化しており、公正な競争の確保を目指している。シンガポールも同様の措置を導入し、国内事業者の競争力維持に努めている。
ベトナム郵政総公社のデータによれば、2023年3月時点で中国からベトナムへ輸送される小口貨物は1日当たり400万〜500万件に上り、取引総額は4500万〜6500万ドル(約67億8285万〜97億9745万円)に達した。
これらの取引に課税することで、ベトナム政府が逃していた税収は年間で8億2100万〜11億8000万ドル(約1237億4133万〜1778億6140万円)に上る可能性がある。
物流企業J&Tエクスプレス・ベトナムによれば、海外販売者は今後、ベトナム国内に倉庫を設置し、現地配送モデルに転換する可能性があるという。
EC市場の変化が予想される中、国内企業がいかに競争力を強化するかが今後の市場動向を左右する鍵となる。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。