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子どもの遺伝性疾患、ベトナムは年間4万人が発症

<写真:moh.gov.vn>
ベトナムでは毎年約4万人の子どもが遺伝性疾患を発症しており、出生前や妊娠中の遺伝子検査を適切に実施することで、この状況が改善する可能性がある。
この問題について、ホーチミン市のファム・ゴック・タック医科大学で産婦人科主任を務めるフイン・グエン・カイン・チャン准教授が、3月6日に開催された医療セミナーで言及した。
セミナーは中央産科病院、フンブオン病院、医学遺伝学研究所の共催で行われた。
統計によると、遺伝性疾患を持つ子どもの80%以上は、両親や家族に遺伝病の既往歴がないケースで発症している。
特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)、脆弱X症候群、サラセミアなどの単一遺伝子疾患は、公衆衛生上の大きな課題となっている。
チャン准教授によれば、劣性遺伝性疾患は親の世代では発症しないことが多いが、子どもに深刻な影響を及ぼす可能性がある。
そのため、結婚前の遺伝子検査を通じて、将来の子どもが遺伝性疾患を発症するリスクを事前に把握し、適切な妊娠・出産計画を立てることが推奨されている。
また、着床前遺伝子診断(PGT-M)、無侵襲的出生前検査(NIPT)、新生児スクリーニングなどの技術の進展により、健康な子どもを持つ可能性が高まっている。
しかし、チャン准教授は「妊娠中や出産後のスクリーニングは重視されつつあるが、結婚前や妊娠前の遺伝子検査はまだ十分に普及していない」と指摘する。
米国産科婦人科学会(ACOG)や米国医療遺伝学会(ACMG)も、結婚前や妊娠中の遺伝子検査を推奨しており、安全な妊娠・出産に向けた計画的な対策が求められている。
一方で、フンブオン病院のホアン・ティ・ジエム・トゥエット院長は、遺伝子検査の普及における最大の課題として「高額な費用」を挙げる。
全人口を対象とした大規模なスクリーニングには多大なコストがかかるため、高リスク群への重点的な実施が現実的であると指摘する。
具体的には、結婚や妊娠を考えている人、家族に遺伝病の既往歴がある人、習慣性流産や不妊症の経験者、サラセミアの遺伝子を持つ可能性が高い東南アジア系の人々などが優先対象となる。
専門家らは、遺伝子検査のコストを抑え、政策的な支援を拡充することで、より多くの人が検査を受けられる環境の整備が重要であると訴えている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。