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脳卒中患者の88%が搬送遅れ、ベトナム医療の課題

<写真:trungtamytequan12.medinet.gov.vn>
ベトナム脳卒中学会副会長のグエン・フイ・タン副教授は、8月9日にホーチミン市で開催された脳卒中会議において、国内7000人の患者を対象とした調査結果を発表した。
それによれば、血栓溶解療法などが可能な「ゴールデンタイム」とされる発症後3時間半以内に治療を受けられた患者は全体の12%にとどまり、残る88%は平均16時間後に病院へ到着し、適切な治療機会を逸していた。
国内の病院内治療は国際水準に近づき、脳卒中センターは2017年比で7倍の130カ所に増加した。
省レベルの多くの病院で血栓溶解や血栓回収術が可能となったものの、発症から搬送までの「プレホスピタル」段階が依然として大きな課題となっている。
搬送遅延の主因は症状の軽視、疾患に関する認識不足、救急搬送体制の不十分さであり、多くの患者は救急車を呼ばず自家用車で移動し、適切な医療機関に直行しない事例が多い。
ベトナムには欧米で普及している「移動型脳卒中ユニット(MSU)」や専門救急員制度が存在せず、救急車は単なる搬送手段にとどまり現場での治療ができない。
ドイツや米国では、発症現場でCT検査や薬剤投与を行い、治療開始を30〜60分短縮しているほか、タイでも1時間以内の治療介入が可能な体制が整備されている。
また、ベトナムの脳卒中患者の平均年齢は62歳と世界平均より約10歳若く、労働年齢層での発症が多い。
生存しても後遺症により就労不能となる例が多く、家族や社会への負担は深刻である。
発症リスクは成人の4人に1人と推定され、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒などの危険因子管理が予防の鍵となるが、国内では治療継続率が低い状況にある。
保健省は2024年に診療ガイドラインと評価基準を策定し、脳卒中を2026年から2035年までの国民健康目標事業で優先疾患の1つに指定した。
専門家らは、全国規模での予防・救急体制整備と啓発活動の一層の強化を求めている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。