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深刻な渋滞に阻まれる救急車、医療現場の深刻な課題
<写真:vtv9.vtv.vn>
ハノイ市では旧正月を目前に控えた1月20日、救急車が渋滞に巻き込まれ、搬送が大幅に遅れる事態が発生した。
この問題は救命の「ゴールデンタイム」を確保する難しさと、ベトナムにおける医療搬送時の課題を浮き彫りにしている。
同日午後5時、ハノイ市ドンダー区の救急ステーションに、妊娠38週の女性が転倒して顔を強打し、けいれんを起こしているとの緊急通報が入った。
救急車は出動後わずか3分で現場に向かったが、深刻な渋滞により進むことが不可能な状況に陥った。
通常なら5~7分で到着する道であったが、10分以上経っても動けない状態が続いた。
救急隊の医師が患者家族に電話で応急処置を指導するとともに、別の救急車派遣を検討するなど迅速な対応が試みられた。
結局、救急車が現場に到着したのは40分後であった。最終的に約1時間かけてハノイ産科病院に到着した。
救急隊員たちは長時間にわたる緊張の中で懸命に対応し、患者と胎児の命を守ることに成功したという。
ハノイ市には登録車両数が800万台以上存在し、そのうち自動車が110万台、バイクが670万台を占める。
さらに、他省や他都市から流入する約120万台の車両が市内を日常的に行き交っている。
一方で、交通インフラは急増する車両数に対応しきれておらず、道路面積に占める交通用地の割合は12~13%と、基準の20~26%を大きく下回る。
特に旧正月前の時期は主要道路で1日を通じた深刻な渋滞が発生する。この状況下で救急車がスムーズに進むことは極めて難しく、搬送の遅延が救命活動の妨げとなっている。
アメリカ脳卒中協会によると、脳卒中や心筋梗塞などの緊急医療では、発症から60分以内の「ゴールデンタイム」が患者の生存率や後遺症の軽減に直結する。
ハノイ市当局は交通渋滞の緩和に向けて、交通信号の調整や道路インフラの拡充を進める方針を発表している。
また、救急ステーションでは患者の状態を迅速に評価し、最寄りの病院への搬送を優先する取り組みを強化している。
渋滞時には柔軟なルート変更や逆走、信号無視も許可されているが、それでも抜本的な解決には至っていないのが現状である。
交通政策の改善や市民の意識向上が今後の医療搬送の質を左右する重要な鍵となる。渋滞を克服し、迅速な医療提供を可能にするためには、社会全体の協力が欠かせない。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。