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EVNの累積損失が44兆ドン、電気料金への段階的反映を模索

<写真:dantri.com.vn>
ベトナム電力公社(EVN)は、2024年末時点で累積した約44兆8000億ドン(約2520億8000万円)にのぼる損失について、その主な要因を明らかにした。
EVNによれば、損失の大部分は電力の販売価格が生産コストを下回っていたこと、並びに新型コロナウイルス感染拡大時に実施された料金減免措置によるものである。
この状況を踏まえ、商工省は電気料金の構成に過去の未回収コストを反映可能とするため、「政令第72号」の改正を提案している。
反映の対象となるのは2022年以降の費用であり、その総額は約44兆7920億ドン(約2501億6300万円)に及ぶ。
EVNの報告によれば、損失の主な内訳は2つに分類される。1つは、過去の電気料金改定時に生産コストの上昇分が十分に価格に反映されなかったことである。
たとえば2022年における平均販売価格は1kWhあたり1882.73ドン(約10.52円)であったのに対し、平均生産コストは2032.26ドン(約11.35円)であり、約149ドン(約0.83円)の赤字が発生していた。
2023年には2度の料金引き上げが実施され、合計で7.5%の上昇となったものの、依然として平均販売価格は生産コストに届かず、1kWhあたり約135ドン(約0.75円)の損失が生じている。
このようなコスト上昇の背景には、燃料価格の高騰や為替レートの変動、エルニーニョ現象に起因する水力発電の比率低下がある。
特に、石炭、原油、輸入ガスの価格が軒並み上昇し、水力発電の構成比は2022年の38%から2024年には30.5%にまで低下した。
もう1つの要因は、新型コロナウイルス感染拡大時に実施された電力料金の減免措置である。
EVNは2020年から2021年にかけて、企業、宿泊施設、医療機関などを対象に5回にわたる料金減額を実施し、その結果として約15兆2330億ドン(約850億7600万円)の収入が失われた。
また、離島や山間部などの過疎地域への送電事業もコストが高く、これらの地域では販売価格が生産コストを大きく下回る状況が続いている。
EVNは発電および送配電事業からの営業収入により一定の費用補填を行っているが、それでもなお約44兆ドン(約2457億4000万円)の未回収費用が残存している。
このままでは、国家資本の保全が困難となり、原子力発電所「ニントゥアン1・2」やLNG火力発電所「クアンチャック2・3」など、今後の重要なインフラプロジェクトへの投資に深刻な影響を及ぼす恐れがあるとEVNは警鐘を鳴らしている。
こうした状況を受け、商工省は電気料金見直しの際には、インフレ動向や国民生活への影響を慎重に分析したうえで、段階的かつ現実的な料金調整を行う方針を示している。
2025年末までの電気料金上昇幅は、最大でも2〜5%程度にとどまると見込まれており、改定が実施された場合でも年末の消費者物価指数(CPI)への影響は0.03ポイント程度に収まると予測されている。
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